緊急医療施設を新築 原子力災害時に患者受入(石巻赤十字病院)
[2021/4/27 宮城版]
石巻赤十字病院(石巻市)は、敷地内に医療施設を増築し、原子力災害緊急時医療施設とする。原子力災害が発生した際に汚染した傷病者を受け入れる施設で、今後に新築工事の施工者を決定し、6月までに着工、来年3月の完成を目指す。増築設計は日建設計(東京都千代田区)が担当している。
石巻赤十字病院は蛇田字西道下71に位置しており、敷地面積が約8.4ha。病院のすぐ北東側を三陸自動車道が縦断している。計画ではこの三陸道側の駐車場となっている場所にRC造2階建ての原子力災害緊急時医療施設を建てる。
建築面積は約500平方m、延べ床面積が約870平方m。高さは約11m。1階は治療室(救急外来)とし、2階に医療関係者の対策本部を置く。空間線量が高くなった時に放射性物質が入らないよう陽圧化対策を施す。平時は同施設を研修や訓練などに利用する考え。
同院は1873年に県立宮城病院石巻分院として石巻町仲町に創設され、1926年10月に日本赤十字社宮城県支部に譲渡されて石巻赤十字病院を開設。2006年に蛇田地区に移転新築した。
病院施設は現在、本棟や北棟、災害医療研修センターなどで構成。新築施工は本棟を鹿島建設JV、北棟や災害医療研修センターを鹿島建設が請け負った。
建物の延べ床面積は5万3759平方m。病床数は464床(一般460床、感染4床)。診療科目は内科や脳神経内科、精神科、外科、小児外科、産婦人科など31科となっている。
主な施設認定は、保険医療機関、労災保険指定医療機関、結核指定医療機関、第二種感染症指定医療機関、がん診療連携拠点病院(高度型)、救命救急センター(24床)、原子力災害拠点病院など。
同院のホームページによると、東北電力原子力発電所に近接し、従来から被ばく事故の際の初期医療機関に指定されているため、2002年に同発電所との間で「傷病者の診療に関する覚書」を締結し、合同訓練や職員研修を実施している。