宇都宮市治水・雨水計画案 河川改修や雨水幹線整備 貯留・浸透施設を設置促進

[2021/04/27 栃木版]
 宇都宮市は、2021~30年度を計画期間とする、(仮称)総合治水・雨水対策推進計画の素案をまとめ、「流す」「貯める」「備える」取組みを、田川・姿川流域や市管理河川で進めていく。都市基盤河川や準用河川の整備、下水道雨水幹線の整備、河川のしゅんせつや樋門等の施設更新・修繕、田んぼダムの普及促進、貯留・浸透施設の設置、道路の透水性舗装や雨水浸透ますの設置、農業用ため池診断、防災工事などの対策を行うとした。
田んぼダム普及しため池対策

 市の河川や下水道雨水幹線の整備状況は、準用河川は計画延長6万7089mのうち、3万9039mを整備。奈坪川と御用川の改修を進めている都市基盤河川は計画延長3万1689mのうち、2万2326mを整備。下水道雨水幹線は、計画延長6万4076mのうち、3万6046mを整備している。

 県では、田川について市において、河道掘削や調節池整備などを行うとし、市も田んぼダムの取組みなどで県の事業と連携し、被害軽減を図るとしている。姿川でも、大谷橋から桜田橋の区間(L約3.8km)の河川改修や調節池整備をおおむね10年間で進めるとし、市も田んぼダムの試行・効果検証を行う。

 市は20年度に先行事業を行っており、「流す」治水対策で護岸かさ上げ、調整池追加掘削、雨水放水路の活用による貯留を実施。「貯める」流域対策は、学校や公園への雨水貯留や雨水貯留タンク等の設置などを実施。「貯める」土地利用対策では、田んぼダムの普及を促進し、33万立方mの貯留量を確保している。

 市は推進計画の基本的な方向として、田川・姿川流域では、県の河道掘削や調節池整備、市の田んぼダムの取組みを進め、田川は5年後に床上浸水の解消、姿川は10年後に床上・床下浸水の解消を図るという。市管理河川では、10年後の中期目標において、1時間あたり47.2ミリの降雨量(気象庁で定めた激しい雨)でも床上浸水の解消を図るという。30年後の長期目標においては、1時間あたり83ミリの降雨量(気象庁で定めた猛烈な雨)でも床上浸水の解消を図るという。

 取組方針として、田川・姿川流域は、災害情報伝達等の「備える」取組みのほか、公共施設への貯留、雨水タンク、田んぼダムの「貯める」取組みを行っていく。市管理河川は、「流す」取組みで河川や下水道雨水幹線の整備、「貯める」取組みで公共施設への貯留・浸透施設整備を行っていく。

 「流す」取組みについては、都市基盤河川や準用河川、下水道雨水幹線の整備、河川のしゅんせつや樋門等の施設更新・修繕などを実施。市は河川について▽奈坪川(競輪場通り~JR東北本線まで河川改修)▽新川(江曽島町や今宮で調節池整備)▽越戸川(越戸川バイパスの全線整備)▽西川田川(安塚街道~新田小学校南西まで河川改修)▽鶴田川(姿川合流部~鹿沼インター通りまで河川改修)▽駒生川(平成通り~西部保育園北西まで河川改修)▽鎧川(東北自動車道~西が岡小学校西まで河川改修)▽大久保谷地川(大久保谷地川バイパスの全線整備)-を10年後までに完了。整備率を現在の63.4%から70%に高める。

 下水道雨水幹線は▽平出工業団地関連排水区(越戸川6号幹線、陽東4丁目周辺)▽駒生川第4排水区(駒生川4-1号幹線・暫定貯留管、宝木市営住宅周辺)▽江川第4排水区(江川第4排水区雨水幹線・暫定貯留管、宇都宮東高校北東側)▽奈坪川第1排水区(奈坪川1号幹線・暫定貯留管、御幸が原小学校南側)▽中丸川排水区(中丸川1号幹線・暫定貯留管、大谷街道中丸公園南側)▽鬼怒川関連排水区(鬼怒川1号幹線・暫定貯留管(JR岡本駅北側)、岡本台調整池)-を計画。整備率を現在の56.3%から、10年後には63%にするとしている。

 このほか「流す」取組みでは▽河川構造物や下水道施設の計画的な更新や長寿命化▽河川のしゅんせつや除草、排水施設の清掃▽樋門の更新・修繕-の維持管理を実施する。

 「貯める」取組みでは▽田んぼダムの普及促進▽市街化区域の民有地における貯留・浸透施設の設置▽市街化調整区域の小規模開発における貯留・浸透施設の設置▽学校や公園における貯留・浸透施設の整備▽その他公共施設(駐車場などの地下)における貯留・浸透施設の整備▽道路における透水性舗装、雨水浸透ますの設置▽既存調整池の活用(追加の掘削等)-を実施。農地や森林の保全・活用でも、保水能力を活用するとしている。田川・姿川流域で225万立方m、市管理河川流域で13.3万立方mを貯留するという。

 「備える」取組みでは▽水害ハザードエリアにおける開発抑制(21年度に見直し)▽都市機能誘導施設の浸水対策促進(想定浸水深を考慮した電源設置等で補助、21年度に交付条件を追加予定)▽農業用施設の適正管理・保全(農業用ため池で機能診断・豪雨等への耐性評価を行い、必要な防災工事を実施)▽都市計画制度を活用した浸水対策促進(開発事業者等に対し、浸水対策への配慮を促す)▽河川監視の強化(監視カメラや水位計の設置)▽雨水幹線の水位監視の導入(マンホール水位計の設置)▽ハザードマップ等を活用した災害リスクの事前周知(洪水、内水、特定農業用ため池のハザードマップ作成)▽浸水高さの電柱等への標示-などを挙げている。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.