河川55億、砂防16億円 足利の中橋下部着工へ 渡良瀬川河川
[2021/04/22 栃木版]
国交省渡良瀬川河川事務所は、2021年度の事業概要を公表した。河川事業では、佐野市高山地区で堤防嵩上を実施するほか、足利市の中橋は県や市と連携し堤防の嵩上げと架け替えに向け橋梁の下部工に着手する。日光市足尾町の砂防事業は、松木川一号堰堤の改築や渋川砂防堰堤の整備を継続する。本県と群馬県を合わせた全体事業費は対前年度比3%減の33億6000万円。
河川事業費は22億5600万円、補正を合わせ55億6300万円。内訳は河川改修費10億3600万円(補正を合わせ38億2100万円)で、このうち2億4100万円を中橋架け替え等特定構造物改築事業に充てる。河川維持修繕費・河川工作物関連応急対策費は12億2000万円(同17億4300万円)、総合水系環境整備事業費が500万円となった。
砂防事業費は10億9900万円で、補正を合わせ16億3900万円。内訳は直轄砂防事業費が6億0400万円(同10億4400万円)、直轄火山砂防事業費は4億9500万円(同5億9500万円)となっている。
当初予算のうち一般河川改修事業では、堤防の必要な高さや幅が不足する弱小堤防区間の対策を実施。本県では佐野市高山地区の渡良瀬川で堤防嵩上工事を第1四半期に発注する。
また、補正予算では流域治水対策を推進するため、嵩上げと拡幅による築堤を重点的に実施。佐野市高橋町地区の渡良瀬川左岸、足利市野田町地区の同右岸などで堤防嵩上工事を第2四半期に発注。佐野市船津川町地区の渡良瀬川左岸では、高水護岸整備等工事を同じ第2四半期に発注する。高水護岸整備は、板倉町除川地区と西岡新田地区、館林市大島町地区の渡良瀬川でも工事の実施が予定されている。
特定構造物改築では、足利市で主要地方道足利千代田線が渡良瀬川を渡河する中橋の架け替えに着手する。中橋は堤防を割り込んで架設されており、架け替えに合わせ堤防を嵩上げ。市のシンボルとなっている現橋は下流側に移設し自転車・歩行者専用道として活用、新橋は現橋の位置に架設を計画している。当面は現橋の移設を先行する見通しで、今年度は移設後の下部工に着手する計画。新橋は渡良瀬川北側でJR両毛線をオーバーパスする計画で、アプローチ部を含め詳細設計で諸元を確定、上・下部工の発注時期等を検討していくもの。
足利市では「かわまちづくり計画」に基づき、五十部地区の緩傾斜堤防に伴う階段工の設計を実施する。渡良瀬川の高水敷はグラウンドや公園に利用され、スポーツ活動やサイクリング、散策・環境学習といった多目的な活用が行われている。五十部地区で盛土造成を行い、堤防天端の平場を活用。坂路や階段など施設整備を行い、民間事業者の活用を促し、賑わいの創出や地域活性化を図るもの。利根川水系環境整備事業を充当する。
河川維持修繕事業の柱は▽堤防除草と河川巡視▽各地区で発生しているイノシシの掘り起こし対策▽河道掘削と樹木伐採等による減災対策-など。堤防除草は河川施設等を良好な状態に保つための目視点検の精度向上につながるとし、イノシシの掘り起こし対策では堤防損傷箇所を補修し、出水時の安全を守るとした。
足尾の砂防では、松木川一号砂防堰堤改築と渋川砂防堰堤の新設工事を継続。補正では畑之沢と大畑沢で松木山腹2件の工事を第1四半期に発注。工事は落石防止網と斜面を移動する資材運搬用のモノレールの仮設工事。加えて、仁田元川砂防堰堤改築工事を第1四半期に予定した。
群馬県の砂防事業では、みどり市東町地先の花輪床固群の進ちょくを図るため、第2四半期に5号帯工の発注を予定した。