利根川上流河川 川西水防拠点は盛土工 渡良瀬遊水地 オリパラで水運用強化

[2021/04/14 栃木版]
 国交省利根川上流河川事務所は、2021年度の事業概要を公表した。事業費は対前年度当初比24.2%減の111億5000万円。内訳は、河川改修費76億9300万円(一般改修72億8900万円、大規模改修4億0400万円)、河川維持修繕24億6000万円、堰堤維持費9億9700万円。

 本県では、野木町川西地区で一級河川思川右岸に川西水防拠点を整備。同地区は堤防決壊等で河川が氾濫した場合、浸水深が大きいことに加え、周辺に避難場所も無いことから、人命にかかわる被害が生じる恐れが高いとした。

 水防拠点は、洪水時に水防活動の拠点となる場所。必要な資材を備蓄するほか、河川防災ステーションと連携して、被災時の災害復旧拠点となる。川西地区も水防活動や近隣住民らの一時避難場所として活用可能な水防拠点を整備するもの。

 今年度は盛土工3万立方mの工事を第1四半期に一般競争入札で発注。工事発注規模は2億円~3億円とし、工期には9カ月を予定した。

 また、茨城県境町では利根川左岸河川防災ステーションの整備に着手する。今年3月18日に整備計画の登録が決まり、被災時に速やかに堤防復旧などを行うための拠点。コンクリートブロックや割栗石など復旧に必要な資機材を備蓄するほか、資材の搬出入や建設機械の活動、水防活動に必要なスペース、ヘリポートなどを備え、近隣住民らの非常時の緊急避難場所として活用も期待されるとした。今年度は用地調査を行い、用地買収を実施していく。

 首都圏氾濫区域堤防強化対策は、埼玉県深谷市~茨城県五霞町まで約50kmが対象。決壊により埼玉や東京などへの氾濫被害の拡大が想定される右岸側堤防への浸透水に対応した安全性を確保するため、堤防拡幅による盛り土と嵩上げを実施する。今年度は埼玉県羽生市~茨城県五霞町にかけて、用地取得の完了した箇所から堤防の拡幅工事や水路・道路の付替え工事などを実施するとともに、用地取得を継続。下流側から対策を進めており、20年度末におけるI期区間23・5kmの進ちょく率は用地98%、堤防強化(川裏盛土延長)87%。上流側II期区間26kmは、用地44%、堤防強化3%とした。

 茨城県古河市では左岸に貯留型氾濫形態で浸水深が大きくなる区域があり、堤防決壊時には甚大な被害が生じる恐れがあるとした。同区域は広域地盤沈下による堤防の高さや断面が不足しており、渡良瀬川が合流する埼玉県加須市北川辺地区や古河市、群馬県板倉町・明和町で堤防の拡幅を行い、治水安全度の向上を図るもの。事業は利根川左岸築堤で、今年度は古河市中田新田、加須市飯積、板倉町飯野地先等で堤防整備を行うとした。

 渡良瀬遊水地では、貯水池B水門の開閉装置撤去と設置、E水門ゲート設備の対策工事を第2四半期に発注。第2調節池では土砂掘削、貯水池ゲート設備を改築する。同遊水地は小山市や野木町を含め首都圏への飲料水として総貯水容量2640万立方mの貯水池を保有するほか、上流ダム群と連携した適切な水補給に加え、渡良瀬川・巴波川・思川に沿って広がり、洪水流を受け入れることで治水安全度を高めており、令和元年東日本台風では機能を発揮。今年度は東京オリンピック・パラリンピック渇水対応行動計画に基づき、冬期に貯水池水位を下げる「干し上げ」を2月中旬に終了して通常に比べ早期に貯水を開始している。

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