浄水場を9カ所に再編 更新費が年平均約36億円(石巻水道の経営戦略)

[2021/3/20 宮城版]
 石巻地方広域水道企業団(企業長・亀山紘石巻市長)は、水道事業経営戦略を策定した。計画期間は2020~29年度の10年間。投資・財政計画では、2040年度までの20年間で現在の17浄水場を9浄水場に統廃合し、それに付随する施設・管路の整備などを行うことにしている。管路や設備などの更新費用は、今後40年間の平均で毎年度約36億円となる見通し。

 経営戦略は、企業団が将来にわたって安定的に事業を継続していくための中長期的な基本計画となる。経営の基本方針は▽安全▽強靭▽持続──の3つ。この計画に基づく取り組みの進捗管理や、計画と実績とのかい離の検証、その結果を踏まえた見直しを適宜行い、経営基盤の強化と財政マネジメントの向上を図る。

 経営戦略の投資・財政計画では、今後20年間で浄水場を9カ所に再編することとし、地区別の主な施設整備の内容や、浄水場の更新・整備に関する概略スケジュールなどを示した。

 旧石巻・河南・須江山系地区は、須江山配水系の再編成に関する施設整備と、鹿又取水場から須江山浄水場までの導水管の二重化を進める。大街道浄水場は21年度から段階的に縮小し、40年度の廃止を予定。大原浄水場は24年度に更新するが、人口減少に伴いゆくゆくは廃止する見通し。須江山浄水場は48年度に更新を予定している。

 桃生地区は、32年度に神取山浄水場を廃止し、六本木浄水場に統合する。六本木浄水場は同年度に増設。併せて、配水場2カ所と送水ポンプ場2カ所の新設、配水場3カ所の廃止を計画している。

 河北地区は、北上川の西地区を沢田山配水系に切り替え、南地区を南境配水系に切り替えるため、南境配水系配水管の整備などを進める。

 北上地区は、地区内の浄水施設を六本木浄水場の更新に伴い統廃合する。具体的には橋浦配水場(仮称)と相川送水ポンプ場の新設や、月迫配水場の廃止などを予定する。

 雄勝地区と牡鹿地区は、水需要を踏まえ施設を再編する。十八成浄水場は21年度に廃止、泊浄水場は22年度、新山浄水場は24年度、鮎川浄水場は34年度にそれぞれ更新する見通し。併せて、大原浄水場や新鮎川配水場、清崎配水場、新鮫浦ポンプ場などを整備する。

 投資・財政計画ではこのほか、40年後に建築物と管路のほぼ100%が法定耐用年数を超えることから、健全な資産を維持するための更新費用を算出したところ、今後40年間の平均で毎年度約36億円となった。

 これら必要な更新需要を賄うには45%の料金改定が必要になるが、水道使用者の負担が大きくなるため、20%増改定とし、改定後も定期的に見直すことにした。

 大震災で被災した蛇田浄水場の跡地利用については、民間活力の有効利用も含め、石巻市や東松島市とともに検討する。

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