堤防や調節池整備へ 治水協 プロジェクト案を提示(江戸川流域)

[2021/3/20 千葉版]
 江戸川流域治水協議会の第2回会合が書面開催され、江戸川流域治水プロジェクト案が示された。県内では、断面が特に不足する箇所の左岸堤防や大柏川第二調節池などの整備を推進する計画。同協議会で出された意見を踏まえ、月内にも治水プロジェクトを公表する予定だ。

 「流域治水」では、流域の関係者全員が協働して[1]氾濫をできるだけ防ぐ対策[2]被害対象を減少させるための対策[3]被害の軽減、早期復旧・復興のための対策──を総合的・多層的に取り組んでいく。戦後最大の洪水に対応する国管理河川対策の必要性や効果、実施内容などをベースに、流域治水プロジェクト案をとりまとめた。

 その概要をみると、短期では、戦後最大の台風と同規模の洪水に対し、首都圏中枢部への氾濫を防止し、浸水被害の軽減を図るため、首都圏氾濫区域堤防強化対策を計画。断面が特に不足する箇所の左岸堤防を整備するほか、中上流部の河道掘削や大柏川第二調節池の整備を順次進めていく。

 中期では、堤防断面が不足する箇所の堤防整備や、下流部の河道掘削を推進。中長期では、流域全体の安全度向上を図るため、さらに堤防整備や浸水防止対策を進めるほか、利根川の洪水を適切に江戸川へ分派させるため、江戸川流頭部を整備する。

 併せて、国の社会経済活動の中枢を担う流域の特徴を踏まえた都市浸水対策の強化(排水施設の整備など)や、流出抑制対策(雨水貯留浸透施設や下水道の整備、水田貯留など)を実施。被害対象を減少させるため、高台まちづくりを促進する。

 国土交通省「総力戦で挑む防災・減災プロジェクト」では、気候変動による水災害リスクの増大に備えるため、河川・下水道管理者などによる治水対策に加え、あらゆる関係者により、流域全体で実施する治水「流域治水」へ転換する方向性が示されている。

 流域全体で早急に実施するべき対策の全体像「流域治水プロジェクト」を示し、ハード・ソフト一体の事前防災対策を加速していく。これを受け、江戸川流域で流域治水を計画的に推進するため、江戸川流域治水協議会を設置している。

治水プロジェクトの主な対策内容

対策内容 実施主体
洪水氾濫対策 堤防整備・河道掘削・流頭部整備
堤防整備・河道掘削・調節池整備 千葉県、東京都
高規格堤防整備
内水氾濫対策 都市浸水対策の強化
流出抑制対策 条例等に基づく流出抑制対策の指導
雨水貯留浸透施設整備の支援充実
千葉県、市
水田貯留機能の利用、公共施設に
おける雨水貯留浸透施設の整備
高台まちづくりなど 国、東京都、区、市川市

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.