整備運営手法を検討へ 加曽利貝塚 新博物館の中間案(千葉市)

[2021/3/18 千葉版]
 千葉市史跡保存整備委員会(委員長・青木繁夫東京芸術大学客員教授)が開かれ、新博物館基本計画の中間とりまとめ案が示された。旧小倉浄化センター敷地などを活用し、加曽利貝塚の価値を広く発信し、後世へと継承するためのガイダンス機能を備えた博物館を新築する計画。2021年度に整備・運営手法などを検討する方針だ。基本計画の策定は丹青社(東京都港区)が支援している。

 千葉市教育委員会は20年7月、同委員会に新博物館基本計画(素案)を諮問し、11月に進ちょく状況を報告。このほど、中間案を報告し、同委員会で審議した。

 加曽利貝塚の保存活用計画やグランドデザインに基づき、新博物館の整備方針案を示したもので、基本方針案は「貝塚を中心とする縄文文化の研究と、その成果を発信する拠点」とする。

 施設計画案をみると、施設整備の基本的な考え方として[1]特別史跡加曽利貝塚との連続性の確保[2]博物館としての機能拡充[3]出会いや地域交流の場としての機能拡充[4]博物館へのアクセスの拡充──の4項目を設定している。

 整備候補地は、モノレールや幹線道路から視認性が高く、運営や集客の観点で効果的な活用方法が見込める、坂月川沿いの旧小倉浄化センター敷地や市有地などを想定。用途地域は市街化調整区域で、建ぺい率60%、容積率200%。坂月川流域は「特別緑地保全地区」に指定されている。

 諸室の構成案は表の通り。「収集・保存」「調査・研究」「展示」「教育・普及」「史跡ガイダンス」「利用者サービス」「管理」「共用・電気・機械」の各部門で必要な諸室を整理している。

 市文化財課は博物館の移転準備として21年度、「新博物館整備・運営手法等検討調査」に着手する。従来方式や設計・施工一括発注(DB)方式、DBO方式、PFI方式などを比較し、最も適した事業方式を検討していく。

 併せて、縄文の森ゾーンや水辺公園ゾーンの事業化に向けた検討に乗り出す。民間事業者にサウンディングなどを実施する方針を示している。

 現博物館は、施設の老朽化や資料の収蔵スペース不足が生じている。また、これまでの展示は来館者を惹きつける魅力や体験性、最新の研究成果を反映する可変性などが不十分となっている。

新博物館の諸室構成案

部門 諸室
収集・保存 各種収蔵庫、荷解室、作業室など
調査・研究 研究室、図書室、資料整理室など
展示 常設展示室、企画展示室、展示準備室など
教育・普及 体験学習室、講堂、活動ルームなど
史跡ガイダンス 史跡等ガイダンス、映像ルーム、展望スペース
利用者サービス ショップ、レストラン、キッズコーナーなど
管理 応接室、事務室、会議室、倉庫など
共用 エントランス、廊下、階段、トイレなど
電気・機械 中央監視室、空調機械室、電気設備室など

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