アクションプラン策定 6年間で事業費685億円 新・川づくり緊急事業(宮城県土木部)
[2021/3/18 宮城版]
宮城県土木部は「新・災害に強い川づくり緊急対策事業」のアクションプランをまとめ、3月17日に開かれた宮城県議会の常任委員会(建設企業委員会)で報告した。国が推進する国土強靭化の取り組みと連携しながら、河川堤防の改修や補強、河道断面の確保などを講じる考え。2025年度までの事業費に約685億円を投じる。
豪雨災害が頻発化・激甚化している近年、治水に対する県民の関心が高くなっている。宮城県では15年9月の関東・東北豪雨で大規模な洪水被害が発生し、さらにその4年後には東日本台風で再び洪水被害が起きた。
これを機に、土木部では管理河川の河川整備計画を見直している。また、河川整備については「流域治水」の考え方に基づき、複数の事業を実施している。
関東・東北豪雨を機に、宮城県は15年12月に「災害に強い川づくり緊急対策事業」に着手し、本年度までを期間とするアクションプランを策定した。緊急かつ集中的に治水対策を講じている。「新・災害に強い川づくり緊急対策事業」は、それを継承する事業となっている。
このほど策定したアクションプランでは、事業期間を20~25年度まで6年間とし、この間に実施する施策などを盛り込んだ。主な事業に[1]迅速な災害復旧事業の推進[2]早期の河道断面確保による流下能力の向上[3]災害復旧と一体となったさらなる水害リスク軽減[4]ダムの治水機能の強化[5]円滑な避難に向けたソフト対策の充実・強化──の5項目を挙げた。
[1]では丸森町内で行っている内川、五福谷川、新川の災害復旧を含め、東日本台風で被災した182河川の1210カ所を迅速に復旧する。事業費は約444億円を投じる考え。
[2]では河川堤防の緊急点検を行い、河道に溜まった堆積土砂を撤去するなど、流下能力を上げるために断面を確保する。地方部の住宅地付近などで、河道を阻害している土砂の2割以上の撤去を目指す。事業費は約75億円を見ている。
[3]では吉田川や七北田川、広瀬川、渋井川などの改修を進め、堤防の補強や内水対策を講じて水害のリスクを軽減させる。事業費には約118億円を見ている。
[4]では花山ダムや小田ダムの堰堤改良、貯水池内の土砂を浚渫して貯水能力を高めるなど、下流域での河川氾濫を防ぐ対策を講じる。事業費に約44億円を見ている。
[5]では水位計や監視カメラの設置で川の状態を監視し、避難行動につながる適切な情報を発信していく方針。事業費に約4億円を見込んでいる。