吉田川流域に排水施設 農業基盤/事業構想の検討入札(北上土地改良)

[2021/3/5 宮城版]
 農林水産省北上改良調査管理事務所は、鳴瀬川水系吉田川流域で内水排除に必要な排水施設のあり方を検討し、2021年度に整備構想案を作成する。具体的には既存排水機場の統合再編なども視野に、国営事業でどのような内水排除対策ができるか考える。4日には整備構想検討業務の一般競争入札を公告しており、4月23日に開札する。

 4日に入札公告したのは、広域農業基盤整備管理調査の吉田川流域排水施設整備構想検討業務。この業務では過年度に作成した湛水解析の結果などを精査し、内水排除に必要な排水施設について整備構想を検討する。履行期間は22年1月28日まで。同事務所は業務成果を踏まえて事業構想案を作る。

 入札の参加資格は、東北農政局から測量・建設コンサルタント等業務がA等級で建設コンサルタントの認定を受けていることなど。18日まで参加申請書を受け付け、19日~4月8日に技術提案書や入札書の提出を求める。

 吉田川流域では、これまで国営による農村整備事業やかんがい排水事業が実施されておらず、県営の農地整備事業で排水機場などの大部分が造られた。このため、本年度は用排水状況調査業務を三祐コンサルタンツ(仙台支店・仙台市青葉区)に委託し、排水解析を行うとともに、現況施設の規模などを整理した。

 その結果、吉田川流域の排水受益面積が6120haで、既存の排水機場が19機場あることが分かった。流域の関連市町村は、大崎市、東松島市、富谷市、松島町、大郷町、大和町、色麻町、大衡村の3市4町1村に及ぶ。

 事業構想案を作成した後の22年度以降は、排水エリアを分割してより精度を高めた分析を進めることになる。仮に国営事業を行うとすれば、かんがい排水事業や農地防災事業などで排水機場や排水路の整備を進めることになりそうだ。

 県によると、吉田川流域には排水能力が毎秒4.3立方mの幡谷排水機場、10立方mの品井沼排水機場、5.3立方mの不来内排水機場、10.2立方mの前川排水機場、1.24立方mの後谷地排水機場、1.9立方mの羽生排水機場、1.7立方mの中村排水機場、1.2立方mの三ケ内排水機場、3.2立方mの桧和田排水機場、4.7立方mの西川排水機場、1.46立方mの大平排水機場などが設けられている。

 これらの排水機場のうち複数箇所は、2019年の東日本台風で湛水被害を受けた。

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