日光土木の文挾バイパス 北側3.5kmに調整池2基 宇都宮今市線と立体化

[2021/03/05 栃木版]
 県は、日光市の国道121号(通称・例幣使街道)文挾バイパス約7.4kmのうち、優先整備区間として北側3.5kmの詳細設計をまとめ、丘陵地の安定勾配を保つため盛り土・切土を多用するほか、雨水対策のための調整池を2基、高低差を利用し主要地方道宇都宮今市線をオーバーパスする。県日光土木事務所によると、宇都宮今市線との交差部の検討を進め、今後は用地測量や物件調査を行い、2021年度には用地補償に着手する見通しを示した。調整池を含む詳細設計は、北側をダイミック(宇都宮市)、南側は富貴沢建設コンサルタンツ(同)が担当している。

 同バイパスは、現道西側に整備し、宇都宮今市線交差部で南北に工区分けする。現道分岐を含め交差点は9カ所、付加車線を設置する主要交差点には4カ所を計画した。宇都宮今市線との立体交差は、県道にアクセスする流出・流入路の確保とともに、同交差部南側には調整池を計画。現在のところ、立体化構造を固め、調整池の位置等を検討しているとした。

 同バイパスの区間は、13年3月に供用した板橋バイパスの南進区間に当たり、鹿沼市境まで約7.4kmのバイパスを整備するもの。道路規格は第3種2級、設計速度は時速60kmとし、車線数が2車線。

 バイパスのルートは、標高差のある丘陵地と農地が連続。縦断勾配を保つため、全線にわたり盛り土・切土構造で計画。

 付加車線を設置する主要交差点は、北側から現道分岐、市道1016号線、同54089号線、同1018号線の4カ所。河川渡河部は飛土沢と2カ所で交差しており、ボックス工で施工するため、直角に交差するよう付け替える予定。

 調整池は市道54089号線交差点の南西側、同1018号線交差点の北東側の2カ所を計画。容量や規模は、現在進めている詳細設計で確定していくとした。

 幅員は標準部で12~14.5mとし、現道分岐北側の約0.7kmは住宅が両側に立地しているため両側歩道。南側約2.8kmを落合中学校が立地する西側に歩道を確保した片側歩道で計画した。幅員構成は、標準部で車道3.25m×2車線の両側に自転車専用通行帯1.5m、歩道を2.5m確保する。交差点部は中央に付加車線分3mを配置し、15~17.5mで計画した。

 同地の121号は、両側に杉並木が囲むように連続し、幅員が狭く屈曲、大型車両の交互通行にも支障を来している。例幣使街道をはじめ、国道119号(通称・日光街道)では、老齢化する杉並木の保護等を目的にバイパス整備が進められている。

 121号は県西部を縦断する栃木西部都市連絡幹線に指定されており、整備の優先度が高い。14年2月の大雪では数百本の倒木が発生し、2日間通行止めになるなど、幹線道路としての機能を果たさなかったばかりか、周辺住民にも支障を与えた。09~17年度の9年間における倒木は155本に上っており、全体の約6割に当たる87本が121号例幣使街道としている。

 県はバイパス整備に向けこれまで、沿道の土地利用状況の調査や整備方針などの検討を行ってきた。ルートの決定に当たっては、回避対象となる鉄塔や池、工場、オイルタンク、墓地などのコントロールポイントを考慮。同地には埋蔵文化財(中小代遺跡)も確認されているほか、圃場整備完了地を縦断するため、田畑の寸断と斜切りは最小限に抑えた。

 また、比較的比高のある丘陵地と、その間の農地が連続するため、高盛土や大規模な切土を避けることで、用地面積や切土搬出残土を縮減していくとしている。

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