復興明け スタートUP 通常分だけで1兆円超え ポスト復興に「防災・減災」 (21年度予算案 宮城県)

[2021/2/10 宮城版]

21年度予算案の名称を掲げる村井知事

21年度予算案の名称を掲げる村井知事

 宮城県は2月9日、2021年度予算案を公表した。一般会計の総額を1兆0531億7766万円とする考え。前年度より7.1%減少するものの、復興・創生期間明けの新年度も10年連続で1兆円超えの予算規模とする。ポスト復興事業では防災・減災、国土強靭化対策費や新・災害に強い川づくり緊急対策費を計上。新規事業では岩沼警察署の建て替え費や県美術館の設計費などを盛り込んだ。

 21年度予算案の内容は、村井嘉浩知事が記者会見して明らかにした。4月から推進する新たな総合計画「新・宮城の将来ビジョン」のキャッチフレーズに含まれる「富県躍進!」を用い、村井知事は21年度予算案を「富県躍進!新ビジョンスタートアップ予算」と名付けた。

 一般会計のうちの通常分は1兆0122億0107万円となり、通常分だけで初めて1兆円の大台を突破した。新型コロナウイルスの対策費などを多く盛り込んだため。一方、震災対応分は前年度より80.4%減の409億7658万円に縮小し、主にソフト事業費を盛り込んだ。

 一般会計に占める普通建設事業費は、前年度より54.5%減の1016億3216万円を計上。多くの復興事業が完了することで半減する。災害復旧事業費は61.9%減の262億5752万円を計上する。

 一般会計に特別会計、公営企業会計などを合わせた予算総額は1兆5025億2464万円。前年度より5.5%の減少となる見込み。

 ポスト復興事業となりえる建設関連の事業費では、頻発化・激甚化する豪雨災害などへの対応費が挙げられる。国が新たに5年間を定めた防災・減災、国土強靭化のための加速化事業には、14億8284万円を計上。河川堤防の安全度を高める新・災害に強い川づくり緊急対策事業には、14億0490万円を計上した。防災・減災対策の資料として第5次地震被害想定調査を行うため、新規事業として1669万円の調査費も計上した。

 警察署の老朽化対策では、岩沼警察署の建て替え事業に着手する。新庁舎建設に係る基本・実施設計業務の実施に向けて、8360万円の委託料を計上した。

 現地での改修に方針が落ち着いた県美術館については、設計業務の委託料に5602万円を計上。慶長使節船ミュージアムのリニューアルには、工事費などに4億5500万円を計上した。
また、仙台空港の24時間化に関しては、新規に環境整備費として10億2200万円、騒音対策費として2億0270万円を計上した。

 宮城県は2月16日に開会する宮城県議会2月定例会に21年度予算案を提出する。

■県 2021年度予算案 (単位:万円)
会計区分 予 算 額 前年比
(%)
 一 般 会 計 1兆0531億7766 △7.1
うち、普通建設費 1016億3216 △54.5
うち、災害復旧費 262億5752 △61.9
 特 別 会 計 3974億0106 △1.9
 準公営企業会計 69億1206 76.4
 公営企業会計 450億3385 △4.1
総  額 1兆5025億2464 △5.5
※1万円未満切り捨て

 

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