河川改修費が倍増 県と浸水対策事業活用(仙台市)
[2021/2/5 宮城版]
仙台市は2021年度、旧笊川(太白区)の再度氾濫を防止するため、予算が重点化される国の浸水対策重点地域緊急事業を活用し、準用河川谷地堀の改修を実施する見通し。同事業で、県は新たに排水機場を建設する。県事業と合わせて実施することで整備効果を高め、河川の氾濫・浸水を防止する。事業採択されれば、事業期間は21~25年度の5年。谷地堀の21年度事業費は、前年度比108%増の2億7900万円を投じる。
浸水対策重点地域緊急事業は19年度に創設された。中小河川の再度氾濫を防止するため、都道府県事業と合わせた対策で事業効果が高い計画を策定し、採択されれば国土交通省の社会資本整備総合交付金(防災・安全交付金)が配分される。5カ年で整備効果を上げるため、予算が重点化される。
同事業では、市が河川の改修、県は笊川樋門付近に排水機場を建設する。市は事業採択を見込み、21年度予算案の谷地堀河川改修事業費に2億7900万円を計上する。谷地堀の事業費増に伴って、21年度の河川改修事業費は倍増している。
谷地堀は、谷地堀改修促進協議会の要望を踏まえ、1999年に事業着手。旧笊川に向かって流れ川幅が狭いため、総延長910m区間で河道幅を約14mに拡幅し、橋梁7カ所を架け替える。19年度末の整備済み延長は約107mで、進捗率は11.8%。市は国の事業を活用し、加速させる。
護岸拡幅は23年度着手を見込む。21~22年度は、県の工業用水道管(口径1000mm)1本を移設する。既設管は谷地堀の下を跨いで敷設され、仙台港に伸びている。河道拡幅で既設管が地表に出るため、既設管と同じ鋼管の口径1000mm管で新たに敷設する。
移設後は、22~23年度で仙台市の茂庭配水幹線(口径1100mm)2本を移設。河川下を跨いで送水管2本が並走しているため、延長50~70m区間を切り回す。移設工事は開削工法で、橋の添架完了後の着手を見込む。添架管は21年度、仮設の水管橋を設置した上、新橋完成後に75mmで添架する。
市の準用河川改修事業は10年確率降雨を想定し、護岸は標準断面で14~15mに拡幅する。21年度事業はこのほか、新規に蒲沢川の改修に1億1300万円を投じる。東日本台風の災害復旧箇所の前後で護岸を新たに整備する。堀切川の改修は8000万円を予算案に盛り込む。