TSR19年度建設業ランキング 受注安定し192社で4902億円 売上トップは東武建設
[2021/02/06 栃木版]
東京商工リサーチ宇都宮支店は5日までに、2019年度(19年4月~20年3月)県内企業の売上高ランキング・ベスト1000社をまとめた。このうち建設業は自治体の大型公共投資や基盤整備事業等の受注に支えられ、18年度に比べ15社増の192社がランクインし、売上高は約165億円増加の4902億円となった。業種別トップは東武建設(日光市)の307億3546万円、2位にはトヨタウッドユーホーム(宇都宮市)で、4位までは宇都宮市のハウスメーカー(栃木セキスイハイム、積和建設北関東)となった。一方、上位100社のうち建設業は5社に止まっている。 =2~3面に建設業関連売上高上位企業
19年度は、各自治体での大型公共投資や基盤整備などの恩恵を受け、業績を伸ばす企業が増加。建設業の企業数は15社増え、売上高も増加した。上位全1000社の売上高合計は、5兆6131億円。前年度比2.0%減と3年ぶりに減少した。
19年度は米中貿易摩擦や日韓問題など、国内経済に少なからず、影響を与える事例が生じた。終盤にかけては新型コロナウイルス感染拡大という大きな問題が発生するなど、先行きに不透明な部分があることは否定できないとしている。
19年度県内企業倒産件数は、平成元年の1989年以降3番目に少ない件数とし、負債総額は2番目に少ない状態にあるなど、小康状態が続いている。上位1000社のうち業種別では、建設業だけが社数を増加させた。製造業は米中貿易摩擦の影響で自動車業界を中心に苦戦を強いられ、4業種中で唯一前年度実績を下回っている。
ランキングに名を連ねる中堅以上の企業は、相応の実力がある一方で、中小零細企業の多くは厳しい状態が続いており、その格差は拡大。勝ち組とされる上位1000社の中でも、上位と下位企業の間で格差が見られるとしている。
19年度上位1000社の売上高合計のうち、建設業が占める構成比は8.7%と前年度並み。地方自治体の老朽化対策と呼応し、庁舎をはじめとした建替えや学校施設の修繕等大型公共投資や防災・減災対策で橋梁等道路インフラの基盤整備など潤沢な受注が維持され、上位100社でランクイン社数は1件増加、売上高は926億5985万円と前年度比16.3増となった。
売上高上位企業は大きな変動がなく、新興企業の台頭は少ない。上位100社は販売業と製造業で過半数を大きく超える構図にも変化は無く、建設業はわずか5社となっている。上位100社の売上高は、1000社の売上高合計の過半数を占め、前年度に比べ3.1ポイント上昇した。
建設業分類のうちトップは東武建設、2位が売上高186億6245万円のトヨタウッドユーホーム、3位に155億6838万円の栃木セキスイハイム、4位は積和建設北関東の142億0669万円、6位には栃木ミサワホーム(宇都宮市)となった。これらに加え、その他業種に分類されているものの、グランディハウス(宇都宮市)の売上高が204億0536万円、パナソニックホームズ北関東(同)も187億0151万円となっており、低金利を背景に安定した住宅需要が続いている。
5位の渡辺建設(宇都宮市)からは市町を代表する建設企業が並び、7位に増渕組(同)、8位の日神工業(同)、9位の中村土建(同)、10位には小堀建設(矢板市)となり、地域中堅企業の強みを発揮し、公共・民間とも好調に推移する建設需要を取り込んだ。