巴波川と田川が採択 地下捷水路、調節池設計へ 県河川課
[2021/01/30 栃木版]
県河川課は29日、一級河川巴波川(栃木市)と同田川(宇都宮市)の改良復旧事業が国の採択を受けたと発表した。国の2020年度3次補正で予算付けされたもので、巴波川に3億円、田川は1億5000万円が配分された。両河川とも25年度まで6年間で、全体事業費は巴波川が153億円、田川90億円。同課によると、21年度に巴波川が地下捷水路の詳細設計と流入部の用地調査・用地買収、田川は宇都宮市と総合治水対策を検討し調節池2基の基本設計を予定しているとした。
巴波川は河川激甚災害対策特別緊急事業、田川は防災・安全交付金事業を充当して改良復旧に着手する。
巴波川は、平成27年関東・東北豪雨でも氾濫被害が発生し、東日本台風と2回連続。同河川は観光資源としても活用され、市街地を流れ河道拡幅は困難な状況。市街地の中流域に比べ、下流の河川幅が確保されており、氾濫した狭さく部の水量を調整するため、地下トンネルによる土被り約10mの捷水路2.4km(内径5.5m)を整備するもの。
捷水路は、大町地先の荒川合流点下流から沼和田町地先の平成橋下流まで約2.4km。具体的には、上流側で渡河する主要地方道栃木粕尾線原ノ橋から東に分岐し、同宇都宮亀和田栃木線下に埋設するため同県道交差点を南進。一般県道南小林栃木線を経由して平成橋で合流する。現状の巴波川は毎秒50立方mの流下能力しかなく、捷水路で60立方mの機能を確保する。
想定しているスケジュールは、22年度捷水路に着工するため施工業者選定。23年度から本格的に工事を進め、25年度の完了を目指す。基本設計は建設技術研究所(東京都中央区)が担当した。
田川の改良復旧は、上流側岩曽調節池を計画する山田川合流部から、下流の川田調節池間6.5km。調節池は岩曽調節池が約18.5haに容量24.3万立方m、川田調節池は16.6haで33.6万立方m。
岩曽調節池は、山田川合流部左岸に越流堤を確保。水位上昇に応じて調節池に貯留する。川田調節池は給分頭首工付近で、左岸に越流堤を設置し、水位上昇に応じて貯留する。
具体化に当たっては、21年度に予定する調節池の基本設計を踏まえ、諸元を固め詳細設計に移行するとした。これまでに総合治水計画作成業務を通じて治水対策の方向性を検討。同業務は三井共同建設コンサルタント(東京都品川区)が担当している。
両調節池とも掘削に当たっては、掘削場所の多自然川づくりに努め、掘削深は田川と同程度とする。また、市街地に隣接して整備することから調節機能のほかに、地域の特性と整合を図った施設とするため、市や地域住民とともに利用面や環境面に配慮した整備を行うとした。
改良復旧区間の計画高水流量は、山田川と合流し釜川放水路や御用川の合流部付近で毎秒640立方m、岩曽調節池では50立方mをカットする。下流の川田調節池は40立方mをカットし、600立方mを流す計画。
想定しているスケジュールは、21年度の調節池設計を踏まえ、用地調査・用地買収、22年度に調節池の工事に着手。24年度は本川6.5kmにわたり50センチ程度の河道掘削を経て、25年度には調節池と河道掘削の完了を目指す。