住宅95%の2万7000戸耐震化 県建築物耐震改修計画案 公共建築227棟は100% 特定天井、EV、ブロック塀も
[2021/01/20 栃木版]
県は、2021~25年度まで5カ年の建築物耐震改修促進計画(3期計画)案をまとめ、一般住宅の建替等を含む耐震化率を95%まで高め、5年間で約2万7000戸を実施していく。公共性の高い耐震診断等が義務付けられている大型建築物が残る17棟、不特定多数が利用する建築物は210棟の耐震化が必要とされており、計画期間中の達成を目指す。県有建築物の特定天井、住宅団地等法令に合致していないエレベーター、耐震性不足のブロック塀なども対象としている。
同計画は耐震改修促進法に基づき、住宅・建築物の耐震化を促進することで、県民の生命や財産を保護することが目的。本県での東日本大震災による深刻な被害に加え、全国各地では数年おきに大規模な地震が発生。今後、首都直下地震等の大規模地震の発生も懸念されている。
一方で、耐震化対象の住宅は、所有者の高齢化や単世帯化等個別事情により、改修や建て替えなどの耐震化が進んでいないのが現状。同計画では、建築物の構造体の耐震化推進に加えて、特定天井など非構造部材についても落下や破損を防ぎ、地震発生後の継続的な利用に備えることが重要とした。
耐震化の目標は国の基本方針と協調した内容。25年度までに住宅を95%、病院や民間の学校など不特定多数が利用する大規模建築物等の公共性の高い施設は、県有施設の特定天井と同様に100%を目指す。
住宅・建築物の耐震化促進策では、費用負担を軽減する助成制度、避難路沿道における耐震性不足の住宅除去や家屋内耐震シェルターの設置など、普及促進に取り組むとした。
県や市町はこれまで、木造戸建て住宅の耐震診断・補強計画策定・耐震改修と建替え補助などに加え、危険ブロック塀除去に対する助成、耐震診断義務付け対象建築物の補強計画と耐震改修に対する助成など支援策を実施。
また安全対策では、エレベーター等の基準適合と安全化の促進、外壁・窓ガラス等の剥落や脱落防止、定期的な点検と維持保全の必要性などを所有者に周知し、総合的な対策につなげていくとしている。
計画の推進に向けては、耐震改修促進法に基づき、耐震化が必要と認められる建築物に対し、指導・助言を行うとともに、耐震診断義務付け対象の建築物については、必要に応じた指導と診断結果を公表するとした。耐震化の進ちょく状況や施策の実施状況を一定期間ごとに検証し、必要に応じて計画を見直すとしている。