107億円で中橋架替え 県評価委が事業着手承認
[2021/01/16 栃木県]
県土整備部が2021年度着手を計画する足利市の都市計画道路3・5・102号家富町堀込線(主要地方道足利千代田線)中橋工区640mが15日、県公共事業評価委員会で承認された。国が実施する一級河川渡良瀬川の堤防嵩上げに合わせ中橋を架け替えるもので、北側のJR両毛線との危険踏切は除去し立体化によりオーバーパスする。総事業費には約107億円を試算し、事業着手の21年度には用地取得と合わせ現橋の3連アーチを自転車・歩行者専用橋とするため、下流側への移設工事に着手していく見通し。
同都市計画道路は、市中心部と国道50号を結ぶ重要な幹線道路であるとともに、第3次緊急輸送道路にも指定、南北市街地を結ぶシンボル軸として都市の骨格を形成している。渡良瀬川に架かる3連アーチの中橋は、市のランドマークとして市民に親しまれ、魅力ある景観を形成している。
事業区間は、朝夕を中心にJR両毛線を横断する宝来社街道踏切の前後で交通渋滞が発生。同地は主要渋滞箇所に選定されており、渋滞緩和を図る必要があるとした。
また、近隣の高校生などが利用し、自転車の通行が多いにもかかわらず、通行空間が充分に確保されていない。加えて、けやき小学校の通学路に指定されているものの、現橋は歩道が狭く、踏切部では歩道が未整備とし、通学の生徒・児童等の安全確保が求められているとした。
渡良瀬川は中橋付近で堤防が切り込んでいる状況にあり、重要水防箇所に位置づけ。国が堤防嵩上げと中橋の現在地での架け替えを計画している。
事業は堤防嵩上げに合わせ、国と県によるアロケーションにより中橋の架け替えを実施。歩道と自転車道を整備して交差点には右折レーン、JR両毛線交差部の立体化により踏切を除去。安全な通行の確保と渋滞緩和による交通円滑化を図るとしている。
標準幅員は、橋梁部を19.8m。上流側の新橋は、車道3m×2車線に歩道3.5m、自転車道2m、路肩0.5m×2、施設帯0.4mと0.6m。下流側の移設橋は、歩道3.5m、自転車道2m、施設帯0.4m×2。高架部の幅員は22m。構成は車道3m×2車線、右折車線3m、歩道3.5m×2、自転車道2m×2、路肩0.5m×2、施設帯0.5m×2で計画。
現橋は歩行者・自転車専用橋とし、移設に当たっては車道部分11.9mのアーチの内側を利用。現橋に比べ通行する荷重が大幅に減ることから、床版を軽くする変更工事を実施するとしている。移設のための準備工事は、早ければ21年度から着手していく予定。
事業期間は27年度まで7年間。21年度に用地調査とともに用地取得、工事に着手。用地取得は23年度まで、工事は27年度までを試算した。
事業費107億円の内訳は、県事業の道路に70億円、国の渡良瀬川堤防嵩上げに37億円としている。工事費が102億円を占め、測量設計1億円、用地補償費4億円を試算した。現在は国主導により橋梁設計を進めており、今年度末を目途に諸元を固めていく見通し。
事業は国の堤防嵩上げと中橋架け替えを一体的に行い効率化を図るとし、現橋の一部を歩行者・自転車道として再利用、建設コストの縮減を図るとした。また、側溝を無蓋化することで蓋版補修等の維持管理コストを軽減。再生材の利用や建設発生土の公共工事間流用に努め、コスト縮減を図るとしている。