アソラに土地を提供 野蒜南赤崎で施設園芸など(東松島市)

[2021/1/13 宮城版]
 東松島市は、野蒜南赤崎地区の移転元地を有効活用するため、先月に土地利用を希望する民間事業者を募集し、応募があったアソラに7.8haの土地を貸し付けることにした。市が造成工事を実施した上で、アソラがイチゴの施設園芸や果樹栽培などを行う計画だ。果樹栽培は、市が野蒜地区の移転元地で構想している「令和の果樹の花里づくり」プロジェクトの一環となる。
 アソラは2012年11月設立の株式会社。農業生産法人として大崎市鹿島台地区で農作物の生産や加工・販売、飲食店の経営(グループ会社が主体)などを行っていたが、19年の東日本台風で洪水被害を受けたこともあり、拠点を野蒜南赤崎地区に移す。南赤崎地区では果樹のもぎ取り体験などができるようにする構想を描いている。
 南赤崎地区は東名運河と海(野蒜海岸)に挟まれており、東日本大震災で津波被害を受けたため、災害危険区域に指定されている。以前あった住宅は集団移転したため、跡地は民有地も含めて大半が雑草の生い茂った状態となっている。
 市は土地利用に向けて、移転元地有効利活用モデル調査検討業務を国際開発コンサルタンツ(仙台支店・仙台市青葉区)に委託。この業務では、防災集団移転促進事業で買い上げた住宅跡地や、その周辺の民有地などを有効活用するため、25haを対象に現状把握や課題整理も含めた調査を実施。地権者に今後の土地利用に関する意向を聞き取るなどした。
 市は25haの土地を活用し、令和の元号の由来にちなんで梅を中心に、果樹や花の里を創り、観光農園などに育てていく「令和の果樹の花里づくり」プロジェクトを構想。これまでに実現可能性調査や試験植樹などを進めてきた。
 今回は全体のうち、7.8haの土地をアソラに提供することになった。対象地の造成工事は、「移転元地利用促進造成工事」として12月18日付で一般競争入札を公告しており、20日に開札して施工者を決める。
 造成工事の内容は、5970平方mの樹林伐採工、構造物撤去工、1万3710立方mの路体盛土工、2万1860平方mの整地工、高密度ポリエチレン管や排水枡による暗渠排水工。予定価格は1億2532万8000円。工期は3月25日までとなっている。
 造成が終わった箇所から順次、農業経営基盤強化促進法に基づき、農用地利用集積計画による利用権設定を行い、ハウスの設置や果樹栽培などに着手する見込み。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.