安全な「とちぎ」の未来へ 強靭化と豊かさを担保する公共事業
[2021/01/01 栃木版]
毎年繰り返される災害に対し政府は、2021~25年度を期間とする国土強靭化「5か年加速化対策」を閣議決定した。災害に強い地域づくりが狙いで、各省庁は老朽インフラの修繕など、計123の防災・減災事業を加速させ、完了時期の前倒しを図る。自治体支出分や民間投資なども含め、総事業費は15兆円。
令和元年東日本台風で崩壊した県土の復旧・復興が進む。原形復旧904カ所は3月末までの工事発注と現場着手、出水期までの完成を目指す。改良復旧5河川は工区割を大規模化し、集中的な発注を継続。12月補正予算ではこのうち、思川・永野川・秋山川・荒川の4河川の債務負担行為限度額を増額し、21年度に大幅な復旧工事の進ちょくを図る。
宇都宮市と栃木市の中心市街地を浸水させた田川と巴波川も、新年度の事業採択が見込まれ、県全域で復旧の足取りを確かなものとしていく。
全世界的なパンデミックに危機感と恐怖を与えた新型コロナウイルス感染症拡大。東京オリンピック・パラリンピックも21年度に先送りされ、開催に向けた感染予防対策の検討が進められている。本県では22年度に国民体育大会・全国障害者スポーツ大会が予定され、会場となる宇都宮市の総合スポーツゾーンの施設整備も3月末に完成の運びとなる。
県は新年度から5年間の「とちぎ未来創造プラン」をスタートさせる。本県が目指す将来像には「人が育ち、地域が活きる 未来に誇れる元気な“とちぎ”」を掲げた。輝かしい未来への扉を開くためにも、台風禍からの復旧・復興に全力を挙げ、県土強靭化を達成していかなければならない。
安全と安心を担保する河川・砂防事業。毎日の通勤や公共交通機関の利便性を支える道路整備。災害からの復興に向け、総力を結集する年。復興の先には、潤いに満ちた豊かな郷土が待っている。
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上の写真(水資源機構思川開発建設所提供)は、鹿沼市の南摩ダム建設現場。思川流域の洪水調節と本県など下流域4県の水道水の供給などを行う。右の写真は、真岡市で整備が進められている国道408号真岡南バイパス。県央地域を南北に結ぶ地域高規格道路「常総・宇都宮東部連絡道路」の一部を担うもので、今春の暫定2車線による開通後、新年度から4車線整備が始まる。左下の写真は、日光市の砂防工事現場での最新測量機器を使ったICT講習。国交省はインフラのデジタル化を進め、2023年度までにBIM/CIM活用への転換を実現するとしている。