小山市豊穂川排水対策事業 105億円で拡幅や築堤 ポンプ場、調整池、排水路も
[2020/12/25 栃木版]
小山市は、一級河川豊穂川の流域排水強化対策事業で、河道拡幅や築堤のほか、同河川に架かる大日橋・新川橋・大行寺橋の架替えを計画。市治水対策課によると、雨水ポンプ場や調整池の整備も行うとしており、小山栃木排水路は放水路の整備、立木排水路では調節池を予定している。全体事業費は105億円を試算し、2025年度までに事業を完了させる見通しという。
道路橋3カ所を架替え
豊穂川沿川は、15年9月の関東・東北豪雨で甚大な被害を受け、改修に先立ち19年度、国交省が一級河川に指定。区間は、上流端が立木地内の大日橋、下流端が一級河川思川との合流点(大行寺地内)まで約1260m。昨年10月の東日本台風で再び浸水被害が発生し、市は同省の浸水対策重点地域緊急事業を導入。完成工期を25年度まで前倒しした。
豊穂川の排水強化対策事業は▽河道拡幅▽築堤▽橋梁の架替え-を計画。豊穂川整備の予備・詳細設計は、大日本コンサルタント(東京都千代田区)が担当した。概算事業費は52億円。
豊穂川の整備区間は当初予定の一級河川区間から変更し、思川合流部から大日橋上流の約200mを含め、約1400mを対象とした。河道拡幅のほか、築堤を行い、高さがTP+27.5m、天端幅が5m。当初予定した桜堤の整備や水門設置は取り止め、思川堤防と同じ規格で整備するとしている。
橋梁の架替えは、市道257号線の大日橋(2009年度建設RC橋、L20m、W9.8m)、一般県道小山結城線の新川橋(L28.5m、W6m)、市道1179号線の大行寺橋(1961年建設RC橋、L15m、W2.8m)を計画。新たな橋梁の規模や構造等は未定。県管理の新川橋については、役割分担について県と調整を進めるという。12月補正予算では、大日橋の架替えに向けた測量と地質調査業務に600万円を配分している。
今後、用地買収や物件補償等を進めるほか、20~21年度に橋梁の設計を実施。22~24年度に橋梁の架替工事、22~25年度に築堤、護岸等の工事を行うとしている。
下水道事業では、大行寺橋の南から思川への合流点(思川緑地)まで2万4100平方mにおいて、雨水ポンプ場や調整池を整備。雨水ポンプ場は大行寺橋の南へ、毎秒1.5立方mの排水能力を持つ施設を整備するとした。調整池は、思川緑地沿いに容量3万立方mの施設を整備するとしている。このほか、雨水管渠(φ2200×L230m、φ1200×L490m)も整備するという。
調整池は23年度に詳細設計、24~25年度に工事を実施。ポンプ場は21年度に詳細設計、23~25年度に工事を実施。雨水管渠は21~25年度に工事を行うとした。概算事業費は34億円。
今年度中に準用河川に指定を予定している小山栃木排水路には放水路を新設。区間は、島田地内の思川合流部からJR両毛線交差部付近の延長700m。既存の排水路が分岐する区間で、思川堤防を通過し思川へ流れ込む区間を放水路として整備するという。分岐箇所で分水路1基を新設し、分岐箇所の近くにある橋梁の架替えも実施。思川堤防を通る箇所に樋門を設置する。平常時は水門等で閉鎖し、既存水路の水位が上昇した時に開放して排水する。概算事業費は11億円。
整備区間は、河道断面を高さ1.7m・水面幅3.8m・河床幅2.5mから、高さ2.01m・水面幅10.21m・河床幅6mに拡幅。堤防は河川幅29mとし、1.1mを築堤。築堤高をYP+30.9mからYP+32mにするとした。今後は、21年度に地質調査と予備・詳細設計を実施。22年度に用地測量を行い、用地買収や物件補償を経て、23~25年度に工事を実施する。
21年度に準用河川指定が見込まれる立木排水路(立木地内)は、調節池の整備を計画。規模は2万2000立方m(H2m・A1万1000平方m)とし、整備箇所の検討を進めているとした。23年度測量と用地調査、24年度に地質調査、予備・詳細設計に加え、用地買収と物件補償を経て、25年度に工事を行うという。
このほか、田んぼダム整備も進めており、計画面積は150ha(501カ所、V45万立方m)。市は土地改良区や農家の取組みを支援し、25年度までに完了を目指すとした。これらの河川整備、下水道事業、排水路整備、田んぼダムなどの取組みで、関東・東北豪雨と同等の豪雨が降った場合でも、大幅に被害を軽減できるとしている。