仙台校に1万6000平方m新施設 21年度から7年で整備 高等専門校の再編(宮城県)

[2020/12/15 宮城版]
 宮城県議会の常任委員会が12月14日に開かれ、5校の統合再編が検討されている高等技術専門校について、宮城県が再編に係る基本方針の中間案を示した。宮城県は新設校を仙台高等技術専門校(仙台市宮城野区田子)の敷地内に整備する方針を明らかにした。本年度中に基本計画を成案化し、2021年度から27年度までの7カ年で新設校を整備する考え。設計業務の委託者は、22年度にはプロポーザルによって選定する。
 高等技術専門校を所管する宮城県経済商工観光部は、同日開かれた常任委員会(経済商工観光委員会)で「高等技術専門校再編整備基本計画」の中間案を示した。7カ年の計画を立て、2028年4月の開校を目指す。
 建設業や製造業の技能を履修できる高等技術専門校は現在、▽仙台▽石巻▽白石▽大崎▽気仙沼──の5校が運営されている。技能者の育成に向けて、企業や地域のニーズに合わせたカリキュラムを行っているものの、本年度4月時点の生徒数は、5校の定員445人に対し222人と、充足率が49.9%に落ち込んでいる。
 宮城県が有識者会議に諮問した今後のあり方について、有識者からは7月に「5校を1校に再編し、時代の必要性に応じた施設や設備を導入して、基本から最先端の技術・技能を習得できる施設を新設するのが望ましい」との答申を受けた。
 答申を受けた段階では、まだ新設校の整備地は決まっていなかった。宮城県は交通の利便性や県有施設の有効利用の観点から候補地を絞り込んだ結果、JR仙石線・福田町駅に近い仙台高等技術専門校の敷地内に新設校を建設する方針を固めた。
 同校の敷地面積は3万9028.2平方m。敷地内には1968年に建設された本館や実習棟など延べ1万5025.2平方mの学校施設が建っている。新設校の整備ではまず、老朽化した一部の施設を解体し、建設用地を確保することになる。新たに建設する施設は、本館1棟と実習棟7棟をはじめ、仙台高等技術専門校に併設されている人材開発センターの建物1棟を含め、延べ1万6000平方m規模を想定している。
 経済商工観光部は宮城県議会に、今後の整備スケジュールも示した。再編整備基本計画の中間案を2021年1月13日まで縦覧し、パブリックコメントを実施する。聴取した意見を反映して基本計画の最終案をまとめ、3月の県議会に議案として提出する。議決を得て、本年度中に基本計画を策定する。
 21年度から事業期間に移行し、はじめに大規模公共事業に係る事業評価の審議を受ける。事業実施が認められれば、翌22年度に設計業務のプロポーザルを公示し、委託者の選定作業に入る。委託者には23~25年度で新設校の基本・実施設計および既存施設の解体設計をまとめてもらう。それが仕上がった後に建設工事を発注し、26、27年度の2カ年で建設する。開校は28年4月を見込む。
 新設校の普通課程には▽機械系2学科▽建設系5学科▽設備系2学科▽自動車整備系1学科▽情報系1学科──の計11学科を設ける予定。定員は165人。ICTやIoTの技術革新に対応した施設・設備を導入し、時代のニーズに即した授業を行って技能者を育成する。
 新設校の開校とともに既存校を閉鎖し、跡地の利活用を検討していく。気仙沼校の代替施設として、民間委託による「サテライト校」の設置を予定している。

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