強靭化計画が閣議決定 国交省 53の対策に9.4兆円(21~25年度の5カ年)
[2020/12/12 宮城版]
政府は11日、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」を閣議決定した。5カ年の事業規模は15兆円程度としており、うち国土交通省は9兆4000億円程度を活用し、重点的・集中的に53の対策を講じる。同省の対策の内訳は、風水害や大規模地震等への対策が26項目で7兆7000億円程度、インフラの老朽化対策が12項目で1兆5000億円程度、デジタル化等の推進が15項目で1300億円程度。主な対策の5年後の達成目標も示した。
同省が5カ年加速化対策の柱に据えたのは[1]激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策[2]予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策[3]国土強靭カに関する施策を効率的に進めるためのデジタル化等の推進──の3つ。
風水害や大規模地震等への対策では▽流域治水▽防災公園の機能確保▽道路ネットワークの機能強化対策▽港湾における地震対策▽港湾における高潮・高波対策▽滑走路の耐震対策──などに取り組む。
このうち、流域治水の達成目標を見ると、一級河川における戦後最大洪水等に対応した河川の整備率を現状の約65%から約73%、二級河川における近年災害の洪水等に対応した河川の整備率を約62%から約71%、海岸堤防等の整備率を約53%から約64%にそれぞれ上げる。
道路ネットワークの機能強化対策は、高規格道路のミッシングリンク解消や4車線化、高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化などを行う。高規格道路(有料)の4車線化優先整備区間の事業着手率は、現状の約13%から約47%とする目標を掲げた。
老朽化対策では、緊急度の高い老朽化した都市公園施設の改修等の対策を実施できている都市公園の割合を31%から80%、予防保全段階にある河川管理施設の解消率を70%から86%、地方公共団体が管理する道路の緊急または早期に対策を構ずべき橋梁の修繕措置率を約34%から約73%に上げることや、特に老朽化した公営住宅の更新の進捗率を85%にすることなどを目標に設定している。
デジタル化の推進では、デジタル技術を活用して施設の維持管理・施工を効率化・省力化するほか、電子基準点網の耐災害性強化対策、地図情報等の整備による被害低減対策、地震・津波に対する防災気象情報の高度化対策などに取り組む。主な目標では、直轄土木工事におけるICT活用工事の実施率を現状の79%から88%とする。
なお、5カ年加速化対策全体では123の対策を実施することとしており、政府全体の事業規模は風水害や切迫する大規模地震等への対策が78項目で12兆3000億円程度、老朽化対策が21項目で2兆7000億円程度、デジタル化等の推進が24項目で2000億円程度となっている。