社保未加入の対策確認 法定福利費 内訳明示で目標値(東北整備局ら)

[2020/12/5 宮城版]
 東北地方整備局や東北建設業協会連合会らは3日、仙台市内で第2回東北地方建設産業社会保険推進・処遇改善連絡協議会を開催した。2021年度から新たに本県の2町が「社会保険未加入業者を排除する取り組み」、4町が「法定福利費を内訳明示した請負代金内訳書の活用に関する取り組み」を始めることを確認。公共工事における法定福利費内訳明示の目標値なども共有した。
 会合には同協議会の加盟団体や行政機関などから約30人が出席。社会保険加入の最新状況や一人親方対策、社会保険加入の今後の対応方策、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用について情報を共有した。
 冒頭のあいさつで同局建政部の荒関保建設産業調整官は、昨年度の建設業法の改正により、本年10月から建設業者が適切な社会保険に加入していることが建設業許可・更新の要件となり、企業単位での社会保険加入が厳格化されたことを紹介。一方で「法定福利費の受け取り状況などは工事の下請企業ほど低い傾向にある。発注者側においても社会保険未加入対策の取り組みが市町村といった地方レベルで一部の自治体に留まっているなど課題がある」とし、未加入対策の取り組みを「広く全体に浸透させていくことが重要」とした。
 社会保険の加入状況を見ると、2019年10月の公共事業労務費調査によれば、雇用保険・健康保険・厚生年金の3保険では企業別で98%、労働者別で88%の加入状況となっている。
 同局の本県を通じたアンケート調査によると、県内市町村で公共工事の元請・下請業者を社会保険加入業者に限定する取り組みを行っているのは、「2次以下を含め全て限定」が3市4町、「元請と1次下請を限定」が3市4町、「元請のみ限定」が4市3町。
 これに加え、21年度から未加入の建設業者を排除する取り組みを始める自治体は、蔵王町と村田町で「元請のみ限定」とする考え。川崎町は「元請のみ限定」から「2次以下を含め全て限定」に切り替える方針だ。
 元請業者から法定福利費を内訳明示した請負代金内訳書を提出させる取り組みは、「全ての工事で提出させている」が3市3町、「基準額以上の工事等一部の工事で提出させている」が1市2町の状況。21年度からはこれに加え、蔵王町、村田町、川崎町、南三陸町の4町が「基準額以上の工事等一部の工事で提出させる」ことにしている。
 公共工事における法定福利費内訳明示を導入している割合は、全国で見ると国が84%、都道府県が53%、市区町村が14%の状況。目標設定では、21年度までに国と都道府県が100%、市区町村が50%以上としている。
 本県では21年度までに導入が13市町、未実施が22市町で、導入率が37.1%となる見込み。同局では未加入業者の排除と法定福利費を内訳明示した請負代金内訳書の活用促進について、市町村に周知・要請し、直接働きかけも行っている。
 CCUSに関しては、2023年度から「あらゆる工事でのCCUS完全実施」に向け[1]建退共のCCUS活用への完全移行[2]社会保険加入確認のCCUS活用の原則化[3]国直轄での義務化モデル工事の実施など公共工事での活用──に官民で取り組むことを確認した。
 なお、同協議会は東北建設業協会連合会など建設業者団体51団体、宮城県社会保険労務士会など建設業関係団体9団体、東北地方整備局や東北6県など行政関係機関15機関で構成している。

行政機関と建設業団体が社会保険加入やCCUS活用に向けた情報を共有した

行政機関と建設業団体が社会保険加入やCCUS活用に向けた情報を共有した

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