長生病院 病棟建替を検討へ 中長期ビジョン策定

[2020/12/4 千葉版]
20201204c 長生郡市広域市町村圏組合の公立長生病院(茂原市)は、公立長生病院あり方検討委員会(委員長・鈴木秋彦茂原市長生郡医師会会長)の報告書を踏まえ、中長期ビジョンを策定した。充実した医療体制を確立するため、医師の確保や適切な設備投資が必要とした。老朽化が著しく、新耐震基準を満たしていないB棟について、建て替えなどを視野に検討していく。策定支援業務はアイテック(東京都中央区)が担当。

 報告書では、築40年経過し、新耐震基準を満たしていない上、施設内各所で老朽化が確認されているB棟の改築計画について、病床規模や病院機能に応じた適正な規模について検討し、早期計画が望まれるとしている。

 中長期ビジョンの病院理念は、患者中心の医療を行い、地域に信頼される病院を目指すとした。基本診療方針を実現するための必要条件として[1]院内のバックアップ体制を確立するべく内科医・外科医・麻酔科医などの必要な医師数の確保[2]医師招聘(しょうへい)・充実した体制を確立するための適切な設備投資[3]今後も長生病院を発展させていくための独立した資金繰りでの病院運営──を設定している。

 現在の稼働病床数128床を維持する方針。急性期と回復期の病床割合を保持しながら、診療体制を整えるとともに、入院運用の見直しなどによる稼働率の向上を図るため、アクションプランの策定を進めていく。

 B棟の現状をみると、新耐震基準を満たしておらず、3階部分で、地震の震動・衝撃に対して危険性が高いという結果が出されている。1978年建築、79年竣工と、築40年が経過しており、排水管から水漏れが発生するなど、施設の全体で劣化がみられ、建て替えが必要な状況だ。

 同病院では、2017年度に外科常勤医師の退職と千葉大学からの派遣打ち切りなどにより経営が急激に落ち込んだことを受け、18年度に全国自治体病院協議会による経営診断を実施。

 その中で「中長期ビジョンがなく、病院としての果たすべき役割とこれを踏まえた経営方針、運営の方向性が明確に示されていないことが、職員のモチベーションや病院の一体感醸成に悪影響を及ぼしている」との指摘を受けた。

 19年9月に将来的な医療需要に見合う病院の規模や機能などを盛り込んだ中長期ビジョンを策定するため、有識者で構成する公立長生病院あり方検討委員会を設置。病院の基本方針と中長期ビジョンを推進するために必要な事項などを検討し、今年10月13日に答申、その内容を踏まえ、中長期ビジョンをまとめた。

 所在地は茂原市本納2777。敷地面積は2万6482平方m。一般病床は急性期150床、地域包括ケア30床の計180床。急性期病床のうち、B棟52床は休床している。

 建物はA~C棟の3棟で構成。施設の構造・規模は、A棟がRC造3階建て延べ1698平方m、B棟がRC造5階建て延べ3768平方m、C棟がRC造6階建て延べ7234平方m。このうちB棟のみ旧耐震基準となっている。

 診療科目は内科、脳神経内科、外科、整形外科、産婦人科、小児科、皮膚科、眼科、脳神経外科、泌尿器科、耳鼻咽喉科、消化器科、麻酔科、放射線科、リハビリテーション科。駐車場は臨時駐車場を含め180台のスペースがある。

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