共同方式で再整備へ 学校給食の将来構想案(柏市)
[2020/12/02 千葉版]
柏市学校保健課は1日、仮称・柏市学校給食将来構想案をとりまとめた。単独調理場方式と共同調理場方式を比較し、市内に4つの共同調理場を新設、仮称・柏北部新設小学校、田中小学校、柏の葉小・中学校を除く全ての小・中学校を共同調理場方式に移行するケースが、もっとも合理的かつ効率的と分析。単独調理場方式のメリットを取り入れながら、既存の学校給食センターを最優先に、共同調理場方式で再整備する方針を示している。2021年1月4日まで意見を募集。21年度に基本計画を策定する予定だ。
市では、旧柏地域の小中学校51校と風早南部小学校は単独調理場方式により、旧沼南地域の小中学校11校は共同調理場方式により学校給食を提供している。しかし、施設・設備ともに老朽化が進行、旧沼南地域では、単独調理場方式の検討も求められている。また、2009年に「学校給食衛生管理基準」が施行され、衛生管理についても解決すべき課題が多く存在している。そこで、将来にわたり、安全・安心でおいしい学校給食を提供するため、学校給食のあり方を検討することにした。
対象校は小学校42校、中学校21校の計63校。築後30年以上経過した施設は全体の約70%、築後40年以上経過した施設は全体の約25%を占め、小学校35校と中学校16校にある単独調理場は、現在の学校給食衛生管理基準を満たしていない。
公設民営の学校給食センターは、1978年に竣工。2階建て1082平方m。敷地面積は5115平方m。想定調理能力食数は1日当たり約5000(2回転調理)。調理方式はウェット施設・ドライ運用。築41年が経過するなど老朽化が著しく、給排水設備が耐用年数を超過、安全面・衛生面での早急な改善が求められている。
検討にあたっては、目標として「安全・安心でおいしい給食を将来にわたり提供し、子どもの健やかな成長につなげる」を設定。運営方針には▽安全・安心な学校給食の提供▽温かくておいしい学校給食の提供▽食物アレルギー対応食の提供▽食育の推進▽将来にわたり安定的な学校給食の提供──の5項目を定めた。
さらに、学校給食衛生管理基準に基づくドライシステムを導入したモデルプランを設定。各学校への導入を検討したことろ、モデルプランの単独調理場を整備できる可能性は、旧柏地域と旧沼南地域のどちらの地域も学校敷地が狭く、限定的であることがわかった。
また、単独調理場方式(ケース1・ケース2)と共同調理場方式(ケース3)の、60年間のライフサイクルコストを比較したところ、約1338億円~約1648億円となり、市内に4つの共同調理場を整備する「ケース3」のライフサイクルコストが最も小さかった。
ケース3では、財政負担の平準化に配慮して、各共同調理場を5年ごとに開設。既存の単独調理場は最寄りの共同調理場の整備に合わせて移行する。対象校数は59校。4施設の総延床面積は1万5652平方m。給食数は計3万食。
これらの結果を踏まえ、単独調理場方式(ケース1・ケース2)よりも共同調理場方式(ケース3)が合理的かつ効率的と結論。単独調理場方式のメリットを取り入れながら、共同調理場方式で再整備することが望ましいとしている。
また、共同調理場の再整備にあたっては、施設の老朽化が進み、建て替えが喫緊の課題となっている既存の学校給食センターを最優先とする。
仮称・柏市学校給食将来構想策定支援業務は、日建設計総合研究所(東京都千代田区)が担当した。