DX推進へ日光砂防と共催 UAV使いICT現場講習 栃測協

[2020/12/1 栃木版]
 県測量設計業協会(堀江育男会長)は11月30日、国交省日光砂防事務所(佐藤保之所長)の日光市芹沢地内の現場で、最新測量機器を使ったBIM/CIM・DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進講習会を開いた。UAVレーザー等を活用し、3次元点群データを取得。現場の地形等を立体的に作成し、工事実施に伴う図面等に活用するもので、国の本県i-Constructionサポート事務所で初の試み。同省ではインフラのデジタル化を進め、2023年度までにBIM/CIM活用への転換を実現するとしている。

 堀江会長は、協会員45社のドローン保有台数は80台を超え、うち地上レーザが10台程度、ドローンレーザは5台程度と現況を報告。「今までの災害においては、被災箇所が明確になってから、測量や設計の作業に入ったが、昨年の台風19号ではドローンを活用し初期の段階から復旧活動に参入した」などとUAV測量による重要性を指摘するとともに、「これからの測量は高さが加わり、ベクトルを必要とする3次元測量に入っていく」と述べ、講習会の意義を強調した。

 佐藤所長は「国交省ではトンネルや橋梁等大規模構造物を22年度、23年度には小規模なものを除く全ての公共工事にBIM/CIMを活用する」と改めて導入のスケジュールを確認するとともに、砂防現場におけるUAV測量の実績として「外業で約7割減、内業は4~5割程度日数と負担が増すものの、全体では約2~3割減の成果が得られている」と述べ、ICT土工に必要な設備投資の補助制度なども紹介した。

 インフラ分野のDX推進は、新型コロナウイルス感染症対策を契機とした、非接触のリモート型働き方への転換に加え、抜本的な生産性と安全性の向上を図るため、5G等基幹テクノロジーの積極的な活用と普及を目指す目的がある。

 点群データ化による図面作成は、木々に覆われた丘陵地の形状や水流が激しい河川内の地形なども把握。これまでの測量機器に比べ、少人数・短時間で業務が完了できるなど、効率化が図れるメリットが大きい。

 また、受注企業における技術者の全般的な高齢化をはじめ、砂防工事に代表される高所や急流河川、交通を確保した道路等現場は、常に危険との隣りあわせ。省人化によるi-Conの確立は、公共工事の品質と持続性を担保するため重要とされている。

 実地講習では、地上レーザ測量機器のTOPCON GLS-2000等を用いた点群データの取得を実演したほか、空撮によるUAV搭載型レーザとUAV写真測量で点群データを取得し、それぞれの特性と状況に応じた活用方法などを学んだ。

 また、点群データ取得後は、3次元による立体的な図面の作成と起工測量における3次元点群データの役割、CIMの活用を実演。大規模な工事を主体に今後、常態化しつつあるICTの活用について見識を深めた。

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