県林業木材産業課 搬出間伐の支援検討へ 素材生産停滞で2団体要望
[2020/11/27 栃木版]
県は、素材生産と木材供給の停滞を打開するため、住宅用柱材として流通している搬出間伐の補助増額等支援策を検討する見通しとなった。川上の県森林組合連合会(江連比出市代表理事会長)と川中の県木材業協同組合連合会(東泉清寿理事長)の共同要望に応えるもので、福田富一知事は早期に対応策を取れるよう検討すると述べた。県林業木材産業課によると、搬出間伐は1ha当たりの生産量に応じて国庫により50%が補助されるものの、コロナ禍にあって住宅着工戸数の減少による木材価格の下落に加え、収束見通しが立たない市場の不透明感から、出荷を抑制する傾向が強いとした。 =2面に関連記事
搬出間伐による素材生産量は例年60万立方mが川中の製材工場等に出荷、住宅用柱材としては29万立方mが首都圏を中心に流通しているという。搬出間伐は冬期の12月~翌年3月までの休眠期がピークとし、同期間に搬出した間伐材で春から夏場の需要を賄うとした。
供給量は、川下の建築用材等の需要に合わせることが理想とされている。今年度は素材生産・木材製品とも通常年の需要に至った月は無く、素材生産を単月では8月が最も少ない半分で、川下との差は35%。直近の10月でも素材生産量は40%減とし、川上と川中の差が15%、川下とでは25%となっている。近年では、リーマンショックに次ぐ減少幅とし、県産材をはじめとした国産の製品が停滞すると、外国産材に取って代わり、低廉な価格帯から国産材の復権が困難になるとした。
両団体が26日、福田知事に提出したのは、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響を乗り越えるための木材供給の安定化に資する緊急支援について」とする要望書。内容は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、素材生産・木材供給が停滞することのないよう、搬出間伐の促進に対する支援の早急な実施を求めた。福田知事は素材生産を増加させ、製品価格を安定させるため、早期に対応策を取るよう努力したいなどと応じた。
県内のスギやヒノキの人工林は、電柱や線路の枕木等の需要の増大化を見据え、戦後に多くが造林された。丸太材として住宅用材に利用されるのは、50~55年が経過したスギなどとし、全体の製品の約6割が首都圏など県外に出荷されているという。
同課では、搬出間伐の盛期となる冬場を迎え、早急な対応策を検討したいなどとしている。