7地区の対策を具体化 市道のかさ上げや止水壁 防災・減災構造の中間案(角田市)
[2020/11/25 宮城版]
角田市は24日に開かれた市議会全員協議会で防災・減災構想の中間案を説明した。構想は昨年10月の東日本台風により甚大な浸水被害を受けた7地区ごとに発生原因を検証し、ハード対策を検討したもの。対策はおおむね10年間をめどに進めていく考え。ため池の決壊や市道の越水などにより浸水した地区では道路のかさ上げや2線堤として機能させる市道の新設、止水壁の設置などを盛り込んでいる。
東日本台風で浸水被害を受けた市内の家屋は推定1538世帯、被害額約115億円を超える。防災・減災構想は、復旧・復興に向けた復旧工事の推進と共に、浸水被害が集中した7地区のハード対策を計画的に取り組むため策定を進めている。
全協は中間案として市内の被害発生状況と7地区ごとの対策案を説明した。対象は▽小田・裏町▽左関▽岡・江尻▽江尻・谷津前▽野田▽枝野▽神次郎──の7地区。住宅密集地や河川などの近接地となっている。
主な地区の対策を見ると、家屋浸水が740棟に上った「小田・裏町地区」では、小田川上流の赤生ため池の決壊や、市道大沼西線の越水など複数の発生要因が認められている。対策として、県に対し小田川河川改修の早期改修を要望するとともに、市道南町斗蔵線と市道大沼西堤防線の一部縦断面が低い箇所について、冠水高を考慮したかさ上げと強化改良を行う。
また施工中である小田川の住社橋から谷地町地区に向けて市道大沼野田前線を新設し、2線堤として機能させる。このほか裏町排水機場の機能強化、外水路強化など複数の対策で防災・減災を図る。
尾袋川からの越水被害を受けた「左関地区」では、兼用堤防の市道駅前花島線に止水壁を設けるほか、関ノ内エリアに雨水排水ポンプ施設の設置などを盛り込んでいる。「岡・江尻地区」では、高倉川からの浸水被害に対し、市道峰岸寺前線沿いに止水堤を設け北江尻・岡地区への浸水防止対策などに取り組む。
加えて国・県らに対し、江尻排水機場の機能強化や阿武隈川堤防(左岸)の整備改修、小田川河川改修の早期完成などの要請・要望を合わせて行っていく。
構想に盛り込んだ対策は今後10年の間に取り組んでいく。事業スケジュールや概算事業費は取りまとめ中で、議会に対し本年度末ごろの報告を目指す方針だ。