県土整備部 現場の遠隔臨場を試行 片道30分以上で立会頻度抑制
[2020/11/18 栃木版]
県土整備部は、建設現場の遠隔臨場(監督)の試行を始める。同部が発注する土木工事のうち「段階確認と材料確認、立会を映像確認できる工種」「スマートフォン等の通信環境が確保できる現場」を対象に実施するとした。具体的には▽構造物等立会頻度が多い工事▽施工現場が遠隔地など立会を実施するにあたり発注者が施工現場との往復に多くの時間(概ね片道30分以上)を要する工事-とし、県技術管理課によると、受注者の段階確認に伴う手持ち時間の削減と確認書類の簡素化、発注者の監督職員は現場臨場の削減による効率的な時間の活用が目的とした。今年度は各土木事務所1件程度の試行を検討している。
試行内容のうち段階確認、材料確認、立会での確認では、受注者がウェアラブルカメラ等で撮影した映像と音声を監督職員等へ同時配信を行い、双方向の通信により会話しながら確認する。試行内容については受注者との協議により実施するとした。
受注者は遠隔臨場の映像と音声を配信するだけとし、データの保存を行う必要はない。しかし、確認実施者が現場技術員の場合は、映像と音声を保存するとしている。受注者は遠隔臨場が行われた記録として、確認・立会願に添付する実施状況写真等を撮影する。ウェアラブルカメラは使用製品を限定せず、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を使用するほか、各種アプリのビデオ通話機能の活用も可能とした。
カメラ等資機材は受注者が原則、準備し運用。発注者の事務所などに備え付けの機器等がある場合には、相互が調整し利用も可能としている。
対象工事は、構造物等の立会頻度が多いものとし、通常は丁張から掘削、立上げなど段階に応じた現場確認を行っているものの、映像で確認が可能と判断できれば現場に行く回数を半減させるなど、臨機応変に対応する。また、現場が片道30分以上かかり、往復に多くの時間を費やす場合には効果が大きいとした。
試行にかかる費用負担のうち、発注者が指定する場合は全額を共通仮設費に積み上げ計上する。その際は当初設計では計上せず、設計変更時に計上するとした。受注者希望型の場合は、費用の全額を受注者が負担するとしている。
なお、遠隔臨場の実施の有無は工事成績評定の評価対象とせず、試行に当たっては課題の抽出に関するアンケート調査を実施し、効果の検証を行っていくとしている。