県が「遠隔臨場 進める」 時間外労働削減へ課題共有(日建連東北と意見交換)

[2020/11/3 宮城版]
 日本建設業連合会東北支部(西岡巌支部長)は10月30日、仙台市内で県土木部との意見交換会を開催した。日建連は新型コロナウィルス対策として現場の遠隔臨場などを試行していることを伝え、その課題解決に向けた環境整備を求めた。県はコロナ対策や時間外労働の削減に向け、今後はウェブ会議や遠隔臨場といった取り組みを進め、業務の効率化に努める意向を明らかにした。
 意見交換会には、日建連東北支部から西岡支部長ら9人、県土木部から佐藤達也部長ら7人が出席。主に▽新型コロナウイルス感染症への的確な対応▽働き方改革・担い手確保への取り組み▽生産性の向上▽社会資本の着実な整備──について話し合った。
 コロナ対応では、県が感染拡大防止対策に要する工期延長を行った工事について、10月より受注者から費用の請求があった場合、延期または中止日数に応じた費用の計上が可能となっていることを伝えた。
 西岡支部長はコロナの感染拡大に伴う新たな生活様式への対応が「建設業界の働き方改革の加速につながる」と発言。特にICT化では遠隔臨場を試行していることを伝え、「山間部やトンネル工事、専用ソフトのインストール、立ち合いプロセスや承認方法など問題・課題が出てくるため、よりよい対応ができるような情報共有をさせてほしい」と述べた。
 これに対し県は「ICTを活用した業務の効率化は必要性を認識している」とし、「移動時間の削減を目的とした現場臨場やオンライン会議などの生産性向上に向けた環境整備を検討している」と回答。「現場におけるさまざまな課題については今後も情報共有し、対応を検討したい」と応じた。
 佐藤部長は「遠隔臨場などICT活用による生産性向上に向けた環境整備は非常に重要。まずはそれに要する費用について、国の通知に基づいて適切に対応したい」と述べた。
 働き方改革・担い手確保のテーマでは、受注者希望型週休2日モデル工事について県が、本年度から災害復旧工事などを除き原則全ての工事で適用していることを紹介。発注者指定型は本年度から新たに試行導入し、年度内に8件実施予定で、今後は実施件数を拡大していく考えを伝えた。
 日建連は週休2日に関し、昨年度における東北支部会員の達成率が4週6閉所以上で約68%、4週8閉所以上で約17%だったことを紹介。県には全体発注件数に対するモデル工事の割合と、モデル工事の達成率を質問した。
 県は2019年度のデータとして、土木部で一般競争入札を562件発注し、うち週休2日モデル工事は受注者希望型で30件実施しており、全体の5%であることを紹介。4週8休の達成率は、現時点で完成した工事のうち約88%であることを明かした。
 担い手確保のテーマではこのほか、日建連が改正品確法に基づいて2024年度から時間外労働の上限規制が適用されることに関し、地元企業の認知度がどの程度であるか県に質した。
 県は「地元企業も十分認識しており、県と地元業界団体との意見交換会では時間外労働を削減するため、さらなる書類の簡素化やウェブ会議などの活用の要望を受けている」とし、「県としても時間外労働を削減するため、ウィークリースタンスやASPの全面導入をはじめ、今後はウェブ会議や遠隔臨場といった取り組みを進め、業務の効率化に努める」と応じた。
 生産性向上のテーマでは、県が本年度からICT活用証明書を総合評価方式で加点評価していることや、CIMを活用したモデル業務に取り組み始めたことなどを伝えた。
 社会資本の着実な整備に関しては、県が国土強靭化関連や防災安全交付金など必要な予算を十分に確保できるよう国に働きかけていることを説明した。

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