旧病院解体で庁舎新築 市役所移転の方向性示す(気仙沼市)

[2020/10/24 宮城版]
 気仙沼市は23日、市議会の新庁舎建設調査特別委員会で、旧市立病院跡地に移転する市庁舎の建設方法に関して、既存の病院施設をすべて解体撤去し、跡地に新庁舎を建てる考えを示した。既存施設を一部活用する案などと比較検討した結果、全て新築する方が新庁舎に求められる機能に対して最適な計画が実現できると判断。年明けの3月までに基本計画を固め、全て新築の方針を市民に説明する意向だ。
 新庁舎の建設方法を選定するに当たっては、基本構想で設定した庁舎機能・性能の基本方針に基づき[1]管理棟と増築棟を利用するA案[2]増築棟のみ利用し庁舎を一部新築するB案[3]全て解体して新築するC案──の3案を比較検討した。
 基本方針では▽市民の利便性の向上や協働空間を提供する庁舎▽市民の安全・安心を支える防災機能が充実した庁舎▽環境にやさしくランニングコストを配慮した庁舎──など5項目を設定しており、これらを実現する上でどの案が最も最適かを評価した。
 その結果、C案(%2図参照%1)が「概算工事費は最も高いが、長期使用が可能で、かつ基本構想における新庁舎に求める機能・性能との整合を図り、市庁舎として最適な計画とすることが可能」などといった理由で総合的に優れていると判断した。
 概算工事費に関しては、新庁舎の建設費が69億1000万円、既存施設の解体費が13億9000万円、造成費が7億9000万円、関連費が1億1000万円で計92億円とした。これに今後40年間の維持費の7億4000万円を加えると、99億4000万円となる。
 これに対し、A案とB案は整備費が安くなるものの、既存施設の大規模改修などによって維持費がかかり、その分を加えて比較すると2億円程度しか低くならないため、コスト面でも大きな差はないと結論付けた。
 さらにA案とB案は、既存施設を利用することによる制約が多く、求められる機能・性能に対する整合を図ることが困難で、市庁舎としての最適な計画とすることができない上に、「建物としての一体性を持たせることが難しい」とした。
 旧市立病院は田中184に位置しており、敷地面積が1万9781平方mで、うち平場面積が約1万5000平方m。全て新築する場合、新庁舎の規模は一部地下1階地上6階建て延べ約1万1000平方mの規模を想定。駐車場は来庁舎用と公用車用で計268台、駐輪場は50台を確保する見込み。
 造成では計画高さを海抜10mと想定し、敷地周辺からの高低差を擁壁でカバーする考え。
 特別委員会に出席した市議からは、建設予定地の南側に隣接する道路を3車線に広げるべきという意見が出された。施設配置に関しては、市があくまで比較検討のための仮想定にすぎないとしつつも、駐車場を北側ではなく南側に配置するべきという声や、段差(スロープ)を設けずに駐車場と庁舎を同じ平場に置くべきといった意見が出された。
 今後のスケジュールは、2021~23年度で基本・実施設計をまとめるとともに、22年度で既存病院の解体に着手する予定。23年度ごろから造成工事を始め、24年度ごろから新築工事を進める見通し。26年度までの完成を目指す。
 現在は梓設計(東北事務所・仙台市宮城野区)に委託して基本計画をまとめている段階。履行期限は2021年3月31日。新庁舎建設の基本構想策定支援業務は国際航業(気仙沼営業所・気仙沼市)が担当した。

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