プロポで取得者選考へ 新松戸駅東側区画整理 商業・住居用の保留床(松戸市)
[2020/10/21 千葉版]
新松戸駅の東側地区では、1971年に新松戸東部土地区画整理事業(約63ha)が都市計画決定された以降、市による土地区画整理事業の事業化に向けた取り組みがされてきた。だが、権利者による反対陳情書が市議会に提出、採択され、市は事業を凍結していた。
その後、区域の一部では、組合施行による土地区画整理事業(3地区、約13ha)が実施されてきたが、他の区域で個別に開発が進行。狭あいな道路などの課題を抱えたまま宅地化が進んでいる。
そこで、市では、狭あいな道路の解消、駅前広場や下水道の整備などを目的に、市施行による立体換地を活用した土地区画整理事業を計画。19年8月に県知事から認可された。
対象地区は幸谷字宮下や字溜ノ脇の各一部。合計面積は約2・6ha。市では立体換地分に充てる建築物(14階建てマンション)を中心に、駅前広場やこれに至る都市計画道路とのアクセス道路の整備を計画している。
18年9月には、事業アドバイザーとして三菱地所レジデンス(東京都千代田区)を特定。商業施設や公共施設を含む共同住宅など、立体換地建築物の基本設計業務を山下設計に委託している。
また、3月議会で、新松戸駅東側地区土地区画整理事業特別会計の創設および市長の附属機関「立体換地保留床部分取得事業者選考委員会」の設置に伴う条例が可決された。取得事業者の選考は、プロポーザル方式で選定する。
取得事業者選考委員は、学識経験者3人、地権者代表と市職員各1人の計5人で組織。このうち、地権者代表1人は、松戸都市計画事業新松戸駅東側地区土地区画整理審議会の推薦を受けて市長が委嘱する。
立体換地は、土地区画整理事業で、従前の土地または借地権に対し、施行者が処分する権限のある建物と敷地の共有持ち分を与えるもの。全員合意で進めることが基本となることや、地権者が多く規模の大きな地区には馴染みにくい一方で、より簡易な手続きで実施でき、単独の民間開発と比べて少ないコストでの整備が可能となる。