国交省 区画整理嵩上げに補助 立地適正化計画見直しも
[2020/10/10 栃木版]
集中豪雨など頻発・激甚化する自然災害に対応した「安全なまちづくり」を促進していくため国交省は、都市計画法や都市再生特別措置法等に、災害(浸水)ハザードエリアにおける開発抑制や、河川氾濫等で浸水した沿川住宅の移転促進を盛り込んだほか、市町村が将来のまちづくり指針として策定する立地適正化計画に防災との連携強化を位置付けた。居住誘導区域内浸水想定区域で土地区画整理事業の実施に当たっては、今年度から土地の嵩上げ費用を補助対象としている。県都市計画課によると、立地適正化計画も防災を主流に規制が強化され、策定済の県内7市町も今後見直しが必要とした。
災害ハザードエリアのレッドゾーンはこれまで、住宅等の建築や開発行為等の規制を設けていたものの、イエローゾーンは規制が無く、区域内の警戒避難体制の整備を求めていた。
開発抑制では開発許可制度を見直し、レッドゾーンでは都市計画区域全域で、自己居住用を除く住宅等に加え、店舗、病院、社会福祉施設、旅館・ホテル、工場などの業務用施設の開発は原則、禁止となる。浸水ハザードエリアなどイエローゾーンについても、市街化調整区域を対象に安全上や避難路の確保など対策を前提に住宅等の開発を許可するとした。
移転の促進では、市町村が移転者等のコーディネートを行い、移転に関する具体的な計画を作成し、手続きを代行。防災集団移転事業はこれまでの10戸以上から5戸以上に緩和、予算措置も拡充するとした。本県では、流域治水の考えを基に、東日本台風で氾濫した那珂川沿川で、那須烏山市や茂木町で集団移転が検討されている。
立地適正化計画の強化では、居住誘導区域から災害レッドゾーンを原則除外。居住誘導区域内で行う防災対策と安全確保策を定める防災指針を作成。内容は、避難路、防災公園等の避難地、避難施設等の整備、警戒避難体制の確保などとした。
都市再生土地区画整理事業は、居住誘導区域内の浸水防止と低減を図るため、立地適正化計画に位置付け防災対策として実施する場合には、浸水想定区域内における土地の嵩上げ費用について重点地区で2分の1、一般地区では3分の1が交付されるとした。
対象要件は、▽浸水想定区域が20ha以上であり、被災が想定される棟数が1000棟以上の浸水想定区域内で行われる事業▽居住誘導区域内であり、1ha当たりの人口密度が40人以上のDID地区▽立地適正化計画内に総合的な浸水対策を実施することが定められており、該当の立地適正化計画に基づき、土地の嵩上げを行う事業-を満たす場合とした。
なお、立地適正化計画策定済の本県市町は、宇都宮、小山、真岡、大田原、那須塩原、下野、芳賀の7市町。県は、2019年7月に公表した「とちぎの都市ビジョン」に災害に強い都市づくりとして、▽災害に強い都市構造の形成と防災・減災を考慮した土地利用▽緊急時の避難路や避難所など防災空間の確保▽災害時における応急対策に加え、復旧・復興も考慮した都市づくり-などを推進すべきとしている。