設計で県産木材利用 森林再生プロジェクト(JIA千葉や県など)
[2020/10/7 千葉版]
日本建築家協会関東甲信越支部千葉地域会(JIA千葉)などの団体と県は、「千葉の森林再生プロジェクト」を本格化する。建築設計者が率先して県産木材の利用に取り組むことで、本県の森林整備や里山環境の改善を推進していく。6日に「千葉の木づかいコンペティション2020」を実施することを発表した。12月1日から募集する予定だ。
このプロジェクトは、木材利用の機運醸成や建築に利用しやすい環境づくりに取り組むことにより、森林や里山の再生のきっかけとすることを目的とする。建築設計者など木材を利用する側の理解が重要であることから、JIA千葉が中心となり、県や日本建築学会関東支部千葉支所、日本建築構造技術者協会関東甲信越支部千葉地域会、県森林組合連合会と連携して取り組んでいる。
木材利用について考える機会を創出する「千葉県産木材利用促進事業」、倒木を建築材料として活用する「台風災害支援事業・倒木処理促進事業」、中大規模の木造建築に対応できる木構造の構造設計技術者を養成する「木構造設計技術者の養成事業」の3つの事業と、5つの取り組みを進めている。
JIA千葉は「千葉の木づかいコンペティション2020」を実施する。木材の生産から利用までを考える機運を醸成するとともに、19年房総半島台風による倒木の利活用を促進することが狙い。木材利用から生産プロセスのアイデアに至るまで、県産木材の利用推進の「全て」に関する提案・作品を募るコンペティションとなっている。
募集するのは実施作品(建築作品の部、プロダクト作品の部)、アイデア、プロセス・ソリューションの4部門。募集期間は12月1日から21年2月1日まで。2月19日に審査・表彰式を開催する。3月9日~19日に作品を展示する予定だ。
本県の県土面積に森林が占める割合は30%で、全国平均60.7%の約半分となっている。また、森林所有者の所有面積が小さく、計画的に森林整備を進める森林経営計画の策定が進んでいない。
そのため、林木育成のための間伐や、森林の整備、木材の運び出しに使う林道の整備、木材加工施設の整備などの環境整備が遅れており、林業を継続する市場が育たず、木材生産は低迷している状況だ。
19年房総半島台風では、かつてない強風により県内各地で倒木被害が発生し、被害を受けた森林の復旧が課題となっている。一方、古くから「サンブスギ」に代表されるように、本県のスギは赤身の木目が美しく比較的耐候性のあることが知られている。