820億円で契約締結 BOO方式 広域ごみ処理施設(君津・安房6市1町)
[2020/10/1 千葉版]
木更津、君津、富津、袖ケ浦、鴨川、南房総、鋸南の6市1町は、各議会に同事業の契約締結議案を上程し、29日までに全ての議会で承認された。事業期間は47年3月31日まで。
契約相手は特別目的会社「株式会社上総安房クリーンシステム」。出資企業は日鉄エンジニアリング(東京都品川区)、鹿島建設(東京都港区)、広築(兵庫県姫路市)、市川環境エンジニアリング(市川市)。君津・安房地域6市1町も出資する。
事業概要をみると、事業用地は富津市新富21-3。日本製鉄が所有する2万8184平方m。住宅地から離れた工業専用地域で、周辺には企業の研究所や発電所、リサイクル工場が立地している。
新施設では、7自治体から排出される燃やせるごみ、粗大3品目、不燃残さ、し渣・脱水汚泥などを受け入れる。原則、24時間365日ごみ処理を実施する。
事業方式は、PFI法に基づき、PFI事業者が7自治体と事業契約を締結し、自らの提案をもとに施設を設計・建設、事業期間が終了するまで施設を所有・運営するBOO方式。
施設規模は日量486t(日量162t×3炉)。処理方式はシャフト炉式ガス化溶融炉。最新型の低炭素型シャフト炉を採用し、コークス使用量を従来型の現事業より半減させる計画となっている。
建物は周囲の環境になじむグレーを基調とした色彩とする。建物の高さを極力低くするとともに、高さ59mの煙突は用地の中央に配置して、圧迫感を軽減する。
ごみ処理の余熱を回収し、高効率な発電を行い、売電することにより、7自治体の財政負担低減を目指す。発電能力は1万1880kWを想定。年間発電量は約1万4000世帯の電気消費量に相当する見込みだ。
ごみの資源化については、廃棄物を溶かして、スラグ・メタルなどの資源を産出し、100%有効利用する方針。排出物は少量の飛灰のみで、最終処分量を最小化させる。
今後のスケジュールをみると、環境影響評価を進め、23年9月から造成・土木・建築工事に着手し、27年3月までの完成、同4月の供用開始を想定している。