TSR 受注好調反映し建設業150社 19年増収増益企業ランキング 総合トップは鵤工舎
[2020/9/11 栃木版]
東京商工リサーチ宇都宮支店は10日までに、県内企業の成長力を示す2019年(1~12月)県内増収増益企業増収率ランキングをまとめた。売上高5億円以上の増収増益企業は507社(調査対象企業1375社)で、このうち建設業は公共工事の受注増や好調な民間投資を反映し、前年に比べ7社多い150社となった。企業別の増収率では、総合1位が建設業でトップの鵤工舎(塩谷町)679.0%、総合2位も建設業の荒牧組(さくら市)356.9%となった。テクノ産業(宇都宮市)、本橋建設(同)、巧建舎(那須塩原市)、USUI工務店(同)、藤光建設(足利市)が続き、建築と土木工事業等を主体に建設業は昨年と同数の7社がトップ10入りを果たした。 =2面に増収増益建設業者一覧
建設業の総件数は16年が134社、17年128社、18年143社で、19年は150社と過去4年間で最も多い。製造業や販売業など他業種に比べ絶対数が少ない中で、業種全体として全業種に占める19年の構成比は29.5%と製造業や販売業を抑え1位となった。
同宇都宮支店では、18年はオリンピック特需が継続し、19年は工場設備等の設備投資に加え、コロナウイルス感染症の直接的な影響を受けなかった建設業が順調に件数を伸ばした。総合3位のサンヴィレッジ(足利市)も総合建設業を営んでおり、19年の総合ランキングは建設業一色の感が強いとしている。
建設業は経営規模が比較的小さいため、増収額が伸び率に与える影響は一般的に大きいとされる。19年はオリンピック特需の陰りがあったが、年終盤の東日本台風による災害復旧工事で、公共工事を受注する建設業の増収要因を後押しした。
建設業の業種別売上高は前年比で12.6%増の295億7787万円のプラスとなった。また、1社当たりの増収額についても1億9718万円のプラスとなっている。件数でトップの建設業だが、売上高の2644億円は、4業種の中で最も低く、比較的規模の小さな企業が大型案件を受注したことで、増収率が大幅にアップしランクインにつながったとした。
総合ランキングトップの鵤工舎は、国内でも数少ない宮大工集団。創業者の小川光夫氏は宮大工のカリスマとして知られた人物で、全国の社寺・仏閣の建築を手掛けている。業種柄工期が長期に及ぶことが多く、決算期に大きなバラツキが生じ、完工高の少なかった前期の反動でトップに躍り出た。
総合2位の荒牧組は、さくら市の上位に位置する総合建設会社。公共工事の元請けを主力に100年の歴史を持つ。大型案件の竣工が上乗せとなり増収率2位を達成。
総合3位のサンヴィレッジは、自社の太陽光発電事業に加え、太陽光発電設備設置事業等、太陽光発電に関連した各種事業を主力に展開。手掛けた案件の増加で、売上高が急増し増収率は348.4%。
総合4位のテクノ産業は、地区有力の電気通信工事業者で、公共工事元請けなどで安定した実績を重ねている。11億円超の大型工事案件が竣工し完工高は289.5%。
総合5位の東石リース(佐野市)は、東京石灰工業の子会社でグループ企業向けの貨物自動車運送事業を展開。運送のほか、商品販売を手掛けるようになり事業規模が拡大、272.7%の増収率を達成した。
総合6位の本橋建設は、下水道関連工事を主力に、推進工法で豊富な実績を誇る。既存受注先からのコンスタントな受注に加えて、大口案件の竣工もあり増収率263.6%となった。
総合7位の巧建舎は、住宅・リフォーム工事がルーツ。現在は内装工事も手掛け、大口案件の受注で増収率が254.8%となった。
総合9位のUSUI工務店は建築工事が主力で、地元の有力企業などに営業基盤を構築する。大口案件に恵まれ増収率が225.6%
総合10位の藤光建設は、地区中堅クラスの総合建設業で、一般住宅から近年は、介護施設等の大規模案件も手掛けるようになった。3億円超の福祉施設の大口受注があり、増収率224.3%でトップ10の最後の席を占めた。
総合トップ10からは外れたものの、業種別で8位に付けた創成建設(佐野市)は、建築工事を主体に地元の建設会社の下請け受注も多い。受注案件を数多くこなし増収率223.4%となった。総合順位は11位。
業種別9位の中央電機通信(宇都宮市)は、電気設備業者として豊富な実績を持つ。近時は太陽光発電施設設置工事等で、業績を伸ばし増収率213.0%となった。
業種別10位の那須電設(那須塩原市)は、創業から半世紀以上の歴史を持つ電気工事業者。工場内の電気設備・配線工事等で実績を重ね、公共工事のコンスタントな受注と安定した民間需要で、増収率207.1%となった。総合では13位となっている。