千葉港 パシコンで岸壁設計 複合一貫輸送ターミナル整備へ
[2020/9/10 千葉版]
国土交通省横浜港湾空港技術調査事務所は、千葉港千葉中央地区岸壁の基本設計をパシフィックコンサルタンツ(首都圏本社・東京都千代田区)に委託した。プロポーザル方式で選定を進め、契約額は3436万円。複合一貫輸送ターミナル整備事業を推進するため、耐震強化岸壁を整備する計画だ。
同業務では、千葉港千葉中央地区の水深6m岸壁(延長220m)について、9mへ増深するとともに耐震改良に向けた基本設計をとりまとめる。履行期間は2021年2月1日まで。
自動車産業や製造業、製紙業の海上輸送網の拠点となっている千葉港千葉中央地区は、内航RORO船により輸送される貨物需要の増加を受け、輸送船の大型化への対応が必要な状況。それらを踏まえ、大規模地震に対する耐震性能を持つ複合一貫輸送ターミナルを整備していく。
施設としては、水深9mの耐震強化岸壁や水深9mの泊地、防波堤(延長140m)などを計画。整備期間は今年度から24年度までとし、総事業費は78億円を概算している。
千葉港湾事務所は、19年度に国際物流ターミナル再編事業検討業務をニュージェック(関東支店・東京都江東区)の委託。同業務では、岸壁や防波堤の予備設計のほか、新規事業採択に向けた整備効果の分析・評価を実施した。岸壁の整備の向けた土質調査は、川崎地質(東京都港区)と応用地質(東京都千代田区)に委託して進めている。
また、岸壁を前出しするため、公有水面埋立承認願書の作成に着手する。同業務の委託先を総合評価落札方式で選定する簡易公募型競争入札の手続きを進めており、10日に開札する予定だ。
複合一貫輸送ターミナルを整備することにより、トラックドライバー不足や高齢化など、将来的な輸送力不足が懸念される中、船舶の大型化が図られる。内航RORO船による輸送力が増強されることにより、将来的な貨物需要への対応が可能となる。
大規模地震発生時においても、耐震強化岸壁を利用した地域の産業や地域住民の生活が維持される。モーダルシフトの進展により、首都圏流入車両が削減され、渋滞の緩和に寄与することなどが期待されている。