農業水路4路線を診断 名取川地区/機能保全対策の検討(阿武隈土地改良)
[2020/9/5 宮城版]
農林水産省阿武隈土地改良調査管理事務所は、名取川地区の土地改良事業で整備された排水路や承水路など4路線を機能診断し、機能保全に必要な対策工法を計画に定める。4日付で機能診断業務の一般競争入札(総合評価)を公告しており、28日まで参加申請書や技術提案書を受け付け、10月23日に開札する。
名取川地区は、1967年~85年の名取川土地改良事業で排水機場4カ所、頭首工1カ所、防潮樋門1カ所、用水路6路線の延長20.1km、排水路9路線の延長45.5kmなどが整備された。受益面積は4450ha。
このうち、境堀幹線排水路、葉の木堀幹線排水路、木流堀幹線排水路、増田承水路の4路線を国営造成水利施設ストックマネジメント推進事業で初めて機能診断する。
境堀幹線排水路は、RCの矢板護岸で、延長が1895m、幅が3.5~5m、高さが約1.6m。葉の木堀幹線排水路は、コンクリートの柵渠護岸で、延長が2182m、幅が7~9m、高さが90cm。付属施設として樋門のゲートも機能診断する。ゲートの規格は1000mm。
木流堀幹線排水路は、コンクリートの板柵護岸で、延長が2350m、幅が7.5~9m、高さが90cm~1.5m。流入口の鋼製スライドゲートや横断函渠の鋼製スライドゲートも機能診断する。ゲートのサイズは、流入口が1000mm×1000mm、函渠が2360mm×1050mm。
増田承水路は、RCの大型フリュームで、延長が3277m、幅が3.8~5m、高さが2.3~3.25m。BOXカルバート部分は幅が3.8mで、高さが2.3~2.5m。樋門の鋼製スライドゲートも機能診断する。ゲートの大きさは5000mm×2450mm。
4日付で入札公告したのは「名取川地区境堀幹線排水路他機能診断業務」。排水路や承水路など4路線の構造を検討し、安全性を検証して健全度を評価する。性能の低下を予測した上で、機能保全対策案を複数選定し、対策の着手時期や範囲を検証しつつ、コスト比較を実施。最も優れた案を機能保全計画案としてまとめる。業務の履行期間は2021年2月24日まで。
入札の参加資格は、東北農政局から測量・建設コンサルタント等がA等級で建設コンサルタントの資格認定を受けていることなど。入札書の提出期限は、電子と紙が10月23日、郵送が同22日。
阿武隈土地改良調査管理事務所では、機能保全計画案を地元の土地改良区に示し、必要に応じて機能保全対策をどのように実施するべきか検討する。
なお、名取川地区では震災津波の被害を受けたため、排水機場などを災害復旧した。今回の診断は特に災害復旧で手を付けてない箇所を中心に行う。既存の名取川頭首工については国営施設応急対策事業で大規模改修を進めている。