佐沼に中心拠点施設 再編骨子案示す 病院、庁舎、図書館など集約(宮城県登米市)
[2020/9/3 宮城版]
宮城県登米市の熊谷盛廣市長は9月2日、中心拠点施設の再編に関する骨子案を定例記者会見で発表した。迫町佐沼の中心市街地を対象に、老朽化した市役所や病院、公民館、図書館、体育館などの施設を再整備する考えを明らかにした。2020年度に立地適正化計画の策定に着手する。その後、2026年度末までに病院の建て替えや市役所庁舎の改修などを完了させる意向。総事業費に150億~165億円を想定している。
登米市では、市役所本庁舎がある迫町の中心市街地が空洞化し、課題となっている。登米市民病院の運営も常勤医師の確保が難しい上、財政が厳しさを増している。一方、市民からは生涯学習や健康増進に資する図書館、公民館、体育館の整備を求める声が挙がっている。
これらの課題を解決していく方策として、市は「コンパクトシティ・プラス・ネットワーク」の理念のもと、市の中心市街地である迫町佐沼地区周辺に中心拠点施設を整備する構想を描いた。市は今回示した計画が、あくまで「骨子案」であることを強調し、今後は市民の意見を聞きながら構想を具体化させたいとしている。
構想の実現に向け、[1]「市民の集い、健康づくりの拠点創出」[2]「地域医療の拠点整備」[3]「学びの拠点創出」[4]「効率的・効果的な行政サービスの提供」──の4つを柱に掲げた。
[1]「市民の集い、健康づくりの拠点創出」では、老朽化している迫公民館や体育館、保健センター、総合支所などを再編し、市民活動や健康づくりの拠点整備を目指す。[2]「地域医療の拠点整備」では、人口減少を見据え、登米市民病院の病床数を最適化した上で、適正規模の病院として建て替える。
[3]「学びの拠点創出」では、新たな図書館の整備を目指す。そして[4]「効率的・効果的な行政サービスの提供」では、市役所本庁舎と中田庁舎、南方庁舎に分散している行政機能を集約し、庁舎を一本化する。構想では新しい病院が完成した後に、登米市民病院の建物を市役所庁舎として改修する案を盛り込んでいる。
整備地については、迫町佐沼地区周辺の市有地を中心に、今後検討していく。市は候補として、市役所本庁舎の東隣にある中江中央公園の約4.5haを挙げている。
本年度はまず、立地適正化計画の策定に着手し、同計画を2021年度の半ばまでにまとめる。また、新しい病院の整備についても、基本構想と基本計画の策定に着手する。新病院については、21年度後半から基本・実施設計を取りまとめ、23年度中の着工を目指す。
公民館や体育館を集約する「市民の集い、健康づくりの拠点」と図書館の整備については、22年度から基本構想と基本計画の策定に取り掛かり、25年度末までに完成させる計画。市役所庁舎として用途変更する登米市民病院は、25年度に改修に係る設計をまとめ、翌26年度に工事着手する。