6市で導入を試行 週休2日制モデル工事(本紙調べ)
[2020/8/21 千葉版]
週休2日制モデル工事の導入状況について、電話によるアンケート調査を実施した結果、県内全37市のうち、「試行済」6市16%、「検討中」12市33%、「未定」19市51%と集計された。試行率はまだ高くないものの、「検討中・未定」と回答した多くの市が、「県内の実施状況等をみながら対応したい」としており、さらに導入する自治体が増えていけば、普及へ向けた取り組みが急速に広がることになりそうだ。
建設業界は、少子高齢化を背景に後継者の不足が懸念されており、担い手確保に向けた取り組みが求められている。また、「働き方改革関連法」に伴う、時間外労働の罰則付き上限規制(24年4月施行)への対応が急務となっている。そこで、県内でも、長時間労働の是正や休日確保に向け、17年度の千葉市を皮切りに、船橋・松戸・市原・鎌ケ谷・白井などが試行を進めている。
今回のアンケート調査では、「未定」との回答が半数(51%)を占め、具体的な取り組みが進んでいない市も多いことが明らかになった。ただ、「検討中」と回答した12市のうち4市と「未定」と回答した19市のうち12市が、「県内の実施状況等をみながら対応を考えていきたい」としており、先行事例や業界の動向を把握、導入するタイミングを見極めようと努めていることがうかがえる。
導入時期については、「現場管理費などの関係で、財政状況を見ながら判断する」(鴨川)、「各部署に検討してもらっており、早ければ来年度から導入する」(流山)など。導入にあたっての課題については、「工期の確保」(南房総・習志野)、「設計労務単価の引き上げが必要」(佐倉)、「新型コロナウイルス対策や災害への対応を優先している状況」(木更津)などの声が聞かれた。
導入に向けた業界側との連携については、「要望がない」(佐倉・銚子・流山)、「要望があれば柔軟に対応したい」(袖ケ浦)と答え、具体的な事例は聞かれなかった。また、「意見交換の場で、さらなる取り組みを呼びかけていきたい」(千葉)など、普及に向け業界側の意識改革を求める声もあった。
試験的な導入を進めている市のうち、鎌ケ谷市は、県の要領にのっとり、19年度から土木工事の一部で「受注者選択型」を試行。ただ、受注者側への周知はこれからで、全体としての試行は、今後の大きな流れを見ながらになるという。
白井市は、土日と祝日は外すなどの措置により、週休2日制に近いものを導入しているが、土日分の重機リース代などの事業費も含めた本格導入に関しては今後検討する。
四街道市は、19年度に試験的に導入したものの、工期がオーバーするなど支障があったため、今後はそれらを考慮しながら検討を進めていく方針だ。
柏市は、「未定」としているものの、今年4月には実施要領をとりまとめ、ホームページで公表している。
また、試行にはいたっていないものの、「土木工事の工期には、土・日を含めていない」(市川)、「柔軟に工期を確保をしている」(富里・いすみ)など、長時間労働の是正に向けた取り組みを進めている自治体もあった。
すでに試行済の市の状況をみると、千葉市は17年度3件(モデル工事3件)、18年度10件(モデル工事7件、受注者希望型3件)、19年度38件(モデル工事13件、受注者希望型25件)と年を追うごとに増加、20年度はモデル工事だけで60件を見込んでいる。
市原市は、19年度3件(道路・公園・水道各1件)、20年度5件(道路・公園・水道・橋梁長寿命化・下水道各1件)。松戸市は19年度1件、20年度1件。船橋市は19年度に10件実施、20年度は19件となる見込みだ。
一方、県については、県土整備部発注の「土木工事」において、15年度から「発注者指定型」および「受注者希望型」のモデル工事を導入している。
各年度の実施状況は、15年度が5事務所7件、16年度が15事務所8件、17年度が22事務所38件、18年度が24事務所117件(発注者指定型51件、受注者希望型66件)、19年度が21事務所719件(発注者指定型55件、受注者希望型664件)だった。
今年度は、発注者指定型の発注目標工事件数を19年度の70件から、対象工事の概ね半数の約600件へと引き上げ、受注者希望型と合わせると、県土整備部発注工事の約6割(推計)の約1200件程度になる見込み。
県土整備部では、関東ブロック発注者協議会や品確法に関する個別説明会などで先行事例を紹介するなど、各市町村に導入を呼びかけ、試行に向けた相談や問合わせなどにも応えている。