再編整備へ基本設計 大規模改修など 東京湾漁業研究所(県)
[2020/8/7 千葉版]
県は6日、水産総合研究センター再編整備事業の基本設計業務について、委託先を選定する指名競争入札の手続きを開始した。老朽化が進んでいる東京湾漁業研究所(富津市)で大規模改修などに着手する方針。年度内にとりまとめる基本設計を踏まえ、2021年度に実施設計を進め、25年度の供用開始を目指す。
県は今年度予算で、水産総合研究センター再編整備事業について、東京湾漁業研究所の基本設計など3923万円、種苗生産施設の基礎調査5000万円の計8922万円を計上している。
同業務では、県有建物長寿命化計画に基づき、老朽化が進んでいる東京湾漁業研究所で、研修館の大規模改修など長寿命化対策や施設の再編を進めていくため、基本設計をとりまとめる。履行期限は21年3月25日まで。
東京湾漁業研究所の所在地は富津市小久保3091で、敷地面積は3080平方m。建物は本館(RC造平屋306平方m)や研修館(RC造2階建て延べ458平方m)、生物実験室棟(RC造平屋210平方m)、貝類種苗研究棟(RC造平屋169平方m)などで構成している。
19年3月に策定した県水産総合研究センター施設の再編整備計画をみると、東京湾漁業研究所について、人工衛星や各種観測ブイのデータ解析などICTを活用した東京湾漁業の操業支援、ノリ養殖における病害対策・作業の省力化、二枚貝類の増産対策に関する研究、遺伝子情報を活用したノリの新品種の開発などに対応できる研究環境を整備していく方向性が示されている。
本館は老朽化が著しいことから、研修館に本館の研究機能を移転。本館は、研究機能を移転したのち廃止する方針だ。
試験研究の高度化に必要な先進的な精密機器類を設置するため、塩害の影響を受けないよう外部と遮断し、温度や湿度がコントロールできる研究・実験室を再配置する。
また、毒劇物を含む試薬などを同時に扱う研究・検査が安全で効率的に行えるようにするため、他の研究室との間を物理的に遮断・管理できる研究・実験室を再配置する計画となっている。
なお、種苗生産施設の再編整備に向けた基礎調査は海洋エンジニアリング(東京都台東区)に委託して進めている。富津生産開発室や勝浦生産開発室、白浜事業所3カ所の種苗生産施設について、現況や施設の稼働状況などを調べ、概算事業費などを算出し、年度内にも再編整備の方向性をとりまとめる方針だ。