東北の発展へ予算確保 地域コンサルの活用促進も 東北整備局と意見交換(東北測協)
[2020/7/22 宮城版]
東北測量設計協会(東北測協:佐藤和昭会長)は20日、東北地方整備局と意見交換会を開いた。東北測協は、働き方改革や地域の守り手確保に欠かせないとして、納期の平準化や地域コンサルの活用促進などを要望。また大震災復興後を見据え、東北地方経済の発展と安全安心な社会実現に向け、ミッシングリングの解消と国土強靭化を挙げ、整備局もこれらの予算確保の重要性について認識を共有した。
会合には協会から佐藤会長ら幹部12人、整備局から西尾崇企画部長ら幹部7人が出席した。西尾部長は「復興事業が進捗する一方、復興後の予算がわれわれも心配だ。管内にはインフラ整備、強靭化が必要な個所がまだある。受発注者が一緒となり東北のインフラを整備できる体制を作りたい」とあいさつ。佐藤会長は「災害対応を始め、人材育成などの課題に取り組んでおり、ぜひ納期の平準化の取り組みなど地方自治体へのご指導をお願いしたい」と力を込めた。
東北測協の要望の柱は▽担い手確保と育成、働き方改革と予算の確保▽品確法の一部改正に基づく地方自治体への指導▽地域コンサルタントの活用促進──など6項目。
協会は、東日本大震災復興後もさらなる東北地方の経済発展、安全安心な社会の構築には「ミッシングリングの解消」「インフラ老朽化対策を含む国土強靭化」が必要と指摘。そのためにも大幅減が続く整備局の一般会計予算について、震災前と同等規模の確保を訴えた。このほか調査基準価格の工事と同等の90%への引き上げ、納期の平準化・分散化、繰り越しの柔軟な運用などを要望。これらの運用は担い手確保・育成、働き方改革の推進に欠かせない。
整備局は、予算確保について協会と同様の認識を示し「国の国土強靭化本部では“5カ年計画”という話も聞く。皆さんが関心を持っていただくことが大切だ」と話した。調査基準価格については、これまで0.48まで引き上げられており「本省に希望を伝える」と請け合い、より具体的な課題をデータで提示するよう求めた。
また整備局が最重要課題として取り組んでいる平準化について、18年度に約8割だった第4四半期を履行期限とする業務が、19年度には7割まで削減したことを報告。国債や翌債の活用率を2割に増やした結果が表れている。本年度は6割以下を目標にしており、達成に向け強化を図ると回答した。
改正品確保の関連では、協会側は国交省の入札契約制度に準じた厳格な運用を自治体にも求めたほか、ウイークリースタンスに関する実態調査を示し、県の実施率が低い「ワンデーレスポンスの徹底」「課長が出席しての打ち合わせ」などについて指導を要請。整備局も「発注者協議会を通じ、県・市町村に指導していく」と答えた。
このほか協会は▽地域密着型業務の「県内本店」による地域要件の設定▽技術力評価チャレンジ型について測量業務への拡大──など地域コンサルタントの活用を提案。さらに、昨年度の整備局部門別業務における東北本社企業の契約占有率を示し、土木関係建設コンサルタント業務で15%と低い状況にあることから、20%以上確保できるよう求めた。