新博物館で計画素案 加曽利貝塚 ガイダンス機能など(千葉市)

[2020/8/1 千葉版]
 千葉市は、特別史跡加曽利貝塚に整備する新博物館について、基本計画の素案を明らかにした。加曽利貝塚の保存活用計画やグランドデザインに基づき、加曽利貝塚の価値を広く発信し、後世へと継承するためのガイダンス機能などを備えた施設を新築する計画。整備候補地として旧小倉浄化センター敷地などを活用する方向性が示されている。基本計画の策定は丹青社(東京都港区)が支援している。

旧小倉浄化C
 敷地など活用

 新博物館の基本方針は▽縄文文化や貝塚研究の中核拠点としての活動▽自然と調和・共存する持続可能な未来の実現を目指す博物館活動▽みんなでつくる・育てる博物館の実現▽加曽利貝塚への様々な興味・関心・幅広いニーズへの対応▽体験の重視──の5項目を設定している。

 施設計画をみると、整備候補地は、モノレールや幹線道路から視認性が高く、運営や集客の観点で効果的な活用方法が見込める、坂月川沿いの旧小倉浄化センター敷地や市有地などを想定している。用途地域は市街化調整区域で、建ぺい率60%、容積率200%。なお、坂月川流域は「特別緑地保全地区」に指定されている。

 諸室機能をみると、収集・保存部門は、出土資料収蔵庫、写真図面収蔵庫、特別収蔵庫・前室、一時保管庫・前室、搬入口・トラックヤード・荷解室、作業室・倉庫。

 調査・研究部門は、研究室、ミーティングルーム、図書室、収蔵資料整理室、発掘資料整理室、分析研究室、保存研究室、撮影室となっている。

 展示・体験部門は、常設展示(加曽利LAB、JOMONIA、未来ラウンジ)、企画展示室、コレクション展示室、史跡ガイダンス展示室、展示ロビー(導入展示)、展示準備室・備品倉庫。

 教育・普及部門は、体験学習室、講堂、活動ルーム、レファレンスルーム、図書室、土器づくり工房(別棟)。集客・交流部門は、ミュージアムショップ、飲食可能なコミュニティスペース(カフェ併設)、史跡ガイダンス、映像ルーム、キッズコーナー、展望スペース(屋外)としている。

 管理部門は、館長室・応接室、事務室、会議室、スタッフ室、ガイド待機ルーム、警備員室など。このほか、共用電気・機械部門を設定している。

 新博物館の運営方式については、民間活力の導入も選択肢の一つとした。公共施設の整備・運営手法の特徴やメリットを活かして、運営に最適な手法を選定していく。

 市文化財課は、市民からの意見などを踏まえ、年度内に基本計画をとりまとめ、2021年度にも設計に着手したい考えを示している。

 現博物館は、施設の老朽化や資料の収蔵スペース不足が生じている。また、これまでの展示は来館者を惹きつける魅力や体験性、最新の研究成果を反映する可変性などが不十分となっている。

 来館者数は、1982年度の年間7万3225人をピークに減少傾向となっていたが、入館料の無料化や特別史跡の指定などに伴い、2018年度に7万7222人と36年ぶりに過去最高を更新した。

新博物館の整備候補地(PDF)

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