移転元地の活用本腰 半島部で計画策定へ(石巻市)

[2020/7/15 宮城版]
 石巻市は、大震災津波で被害を受け、集団移転後に市が買い上げた半島部の土地を有効活用するため、計画策定に着手する。6月補正予算には、移転元地利用計画策定業務の委託費に1億円を計上した。年度内に同業務を委託する。半島部のうち、雄勝地区の中心部については、先行的に土地利用の検討が進んでおり、今回策定する計画からは除くことになる。
 市は移転元地として約60地区の土地を買い上げた。半島部は面積にすると約150haで、うち約50haは水産関係用地やパークゴルフ場、雄勝地区と鮎川地区の半島拠点など利用が決まっている。残る約100ha以上は土地利用が未定の状況で、この中には先行的に検討が進んでいる雄勝中心部も含まれる。
 雄勝中心部の移転元地は、市有地だけで約20haあり、民有地や漁港なども含めれば区域面積が50ha程度にもなる。土地利用に向けてはすでにワークショップを5回ほど開いたほか、住民説明会も開催した。基本的には植栽や緑化などを構想している。 
 具体的には営利活動としてオリーブの栽培などを民間ベースで行いたいという意向が示されているほか、非営利活動として花を植えたいという話が出ている。市も加わりながら、営利と非営利を組み合わせた活動展開の方向性を定め、土地利用していくことになりそうだ。
 ただし、雄勝中心部では復興事業が進行中のため、工事が一段落して仮設ヤードなどが取り除かれた後、市が年度内に移転元地整備工事を発注して土地を整えてから、植栽などが可能になる。移転元地整備工事の発注は10月以降になる見通し。
 雄勝中心部を除く半島部では、移転元地利用計画策定業務を委託し、まずは市が買い取った土地の現状を整理する。例えば他の事業で使っているとか、どこかに貸しているとか、売却したとかいった状況を把握し、カルテを作成する。
 その上で、地区ごとに住民と話し合い、活用したいという意向が示されれば計画に盛り込むことになる。住民の意欲にもよるため、全ての移転元地で利活用に動き出すわけではない。ただ、仮に水産関係の事業者を誘致したいという意向が示されれば、担当部署に引き継ぐための準備も今回の策定業務で行うことになる。
 

整備工事4件を公告

 同市は13日、半島部4地区の移転元地整備工事について、地区ごとの4件に分け、一般競争入札(事後審査)を公告した。28日まで参加申請書や入札書を受け付け、29日に開札する。
 公告したのは▽雄勝▽北上▽牡鹿▽本庁半島──地区の移転元地整備工事。いずれも構造物の取り壊し工事や運搬処理工事などを施工する。入札の参加資格は、市内に本店を置く事業者で、土木一式工事の格付が雄勝と北上がAランク、牡鹿と本庁半島がBランクであることなど。
 なお、雄勝地区には中心部の工事が含まれていない。河北地区の移転元地整備工事は、指名競争入札で発注することにしており、22日に開札する。

Comments are closed.


Powered by WordPress, WP Theme designed by WSC Project.