県下水道室 大岩藤浄化センターを耐水化 年内に整備方針、詳細設計へ
[2020/7/11 栃木版]
県は、流域下水道大岩藤処理区浄化センター(栃木市藤岡町藤岡4018)の耐水化の検討に乗り出す。年内を目途に基本設計をまとめ、耐水化対象施設の優先順位や整備手法など方針を決定。今年度末までに詳細設計を発注する見通し。県下水道室によると、浄化センター周辺は栃木市のハザードマップで施設全体が最大水深3m程度浸水する恐れがあり、被害を未然に防止する必要性が高いという。下水道処理場の耐水化の検討は、県の施設では初めてとし、市町のハザードマップの見直しに応じて、浸水が想定される他の浄化センターも検討していくとしている。基本設計は、東京設計事務所(東京都千代田区)が担当している。
大岩藤浄化センターは敷地6.65haに、管理棟、沈砂池ポンプ棟、水処理施設、汚泥処理棟、汚泥消化タンク、放流ポンプ棟、給水施設、ガスタンクなどが立地。機械や電気設備等の主要な設備は地下に設置され、施設内の耐水化や防水状況が不明確なことに加え、開口部の浸水箇所が複数想定されるとした。
洪水等により特殊な設備が被災した場合は、代替え製品の受注製作を伴い、一度浸水被害を受けると復旧に相当な期間を要する。昨年10月の台風19号では、宇都宮市や鹿沼市などの下水道処理場が浸水被害を受けており、機能停止や運転管理上の人的負担の増加を招いた。
基本設計では、集中豪雨や河川等からの溢水により、同浄化センターで想定される最大規模の浸水被害を予測して、実効性のある対策を立案していく。一般的な対策では、設備等を格納する建物の入口の扉を水密ゴムで密閉する防水扉。水位上昇に伴う浸水を防ぐため施設等にコンクリートの壁を設置する止水壁。開口部や貫通孔の閉塞に加え、建物自体を嵩上げしたり、施設の周囲を盛土して囲い込み、浸水を防ぐ方法などが挙げられるとした。
基本設計では、資料収集や現地踏査を行うとともに、浸水予測を基に重点化区画を設定。重点化区画の設定では、非浸水区画、浸水許容区画、要浸水回避区画等に分類し対象施設の優先順位を選定、合わせて施設の利用頻度や場内動線等も考慮するとした。同時に、重点化区画に応じた防災対策を検討、概算工事費を算出する。これらの成果を基に整備方針を決め詳細設計で具体化、次年度以降の対策工事に備えていくとした。