地盤情報を有効活用へ 東北整備局と意見交換(東北地質調査業協会)

[2020/6/26 宮城版]
 東北地質調査業協会(奥山清春理事長)は24日、東北地方整備局との意見交換会を開催した。協会側は地質リスクの低減や将来的な社会インフラの維持管理において3次元モデルが有効になると説き、3次元モデル作成に向けた地盤情報の活用と、情報データの積極的な統合を要望。同局の西尾崇企画部長は地盤情報の重要性を認め、多様なデータの有効活用に理解を示した。
 意見交換会には、東北整備局から西尾企画部長ら8人、東北地質調査業協会から奥山理事長ら16人と、全国地質調査業協会連合会(全地連)の須見徹太郎専務理事が出席した。
 あいさつで西尾企画部長は「国土に手を加えていくことに対しては、まずもって地盤や地質をしっかり調べることが前提となる。皆さん方がいなければこれを成し遂げることはできないので、皆さんが安定して活躍できる体制を整えていきたい」と述べた。
 奥山理事長は「近年の地盤情報不足による工事の手直しなど、地質リスクに対する実情を踏まえ、業界として積極的に事業の初期段階の参画を図り、発注者の期待にさらに応えたい」と意気込んだ。
 会議では▽新型コロナウイルス感染症への対応▽地質専門資格者と地元企業の活用▽担い手の確保▽地盤情報の活用──などについて協議した。
 コロナ対応では、現場で待機を余儀なくされて多くの日数を取られることが考えられるため、協会側が工期の延長や宿泊費についても設計変更の対象とするよう求めた。同局は「本省通知に基づき、受発注者間で協議し、適切に工期延長する」と回答。「待機等の追加費用が発生した場合も適切に設計変更に反映する」と応じた。
 さらに同局は、本年度から打ち合わせにおいて原則1回以上はWeb会議を実施することや、臨場を伴わないビデオによる検尺などを積極的に活用する意向を示した。
 地質専門資格者の活用に向けては、事業の初期段階から潜在的な地質リスクを抽出し道路設計に反映する動きが各整備局で出てきていることを協会側が紹介し、地質リスク検討業務の発注を前向きに考えるよう要望。同局道路部は、高規格道路などの延長が長い大規模な事業や、自然由来の木々が分布している所を通る道路などで「今後必要に応じて発注を検討する」と回答した。
 地元企業の活用に向けては、総合評価における業務評定点に関し、地方自治体の成績も認められるようになったものの、その評価ランクが低いことを協会側が問題視。自治体の実績がある業務成績を72点として試行していることの妥当性を検討するよう求めた。同局は「今の業務成績の平均点の動向などを勘案し、引き上げについて検討していきたい」と答えた。
 働き方改革では、協会側が発注工期のさらなる分散を要望。同局は業務の平準化について、第4四半期が納期となる業務を60%以下にするという本年度の目標を伝え、引き続き「早期発注、国債、繰り越し制度を活用して平準化に努めたい」と返答した。
 地盤情報の話題では、東北の地盤情報共有システムとして立ち上がった「みちのくGIDAS」、全地連が主導している「国土地盤情報センター」、国土交通省の「kuni jibann」の3種類の地盤共有システムが「国土地盤情報センター」にデータベースを統合する方針となったことを確認。3.11で得た多くの自治体データも含め、積極的なデータ統合を協会側が同局に求めた。
 西尾企画部長は地盤情報について、「各県との連携も非常に進んでいる。たぶん(東北は)先進地域だと思う」との見解を示し、「これだけのデータがそろっているのは大事なことなので、しっかり使っていければいい」と語った。

西尾企画部長

西尾企画部長

奥山理事長

奥山理事長


コロナ対策や働き方改革などについても意見交換した

コロナ対策や働き方改革などについても意見交換した

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