候補地10カ所程度を選定 2次で数カ所に絞り込み 産廃処分場の新設(宮城県)
[2020/6/20 宮城版]
新しい産業廃棄物最終処分場の候補地選定について、6月19日に宮城県庁で2回目の有識者会議が開かれた。宮城県は1次選定として10カ所程度の候補地を挙げ、立地条件などを有識者に説明した。併せて2次選定の際に重視する6つの評価項目を示した。これらをもとに候補地をさらに絞り込み、今秋をめどに数カ所の候補地を選定する。
宮城県庁で開かれたのは「産業廃棄物最終処分場候補地選定懇話会」(委員長・山田正人国立環境研究所資源循環・廃棄物研究センター国際廃棄物管理技術研究室長)。大学教授や建設業関係者ら委員9人と、鈴木秀人県環境生活部長はじめ県の職員ら約10人が出席した。
懇話会は「候補地の1次選定結果の議事」を非公開とし、審議が進められた。会合後に報道陣の取材に応じた県の関係者によると、県は▽法的規制や地形的制約条件で支障がない土地▽用地取得が容易な土地▽埋め立て容量170万立方m以上を確保できる土地──などを条件に適地を30カ所程度挙げ、その中から1次選定として絞り込んだ10カ所程度を示したという。
当初は場所を明らかにせず、箇所数のみ公表する予定だったが、有識者との協議の結果、詳細な箇所数も現時点では明らかにしないことになった。
宮城県は各候補地の特徴などを有識者らに説明し、意見を聴取した。今後、さらに候補地を検証し、数カ所程度に絞り込む。10月ごろに開催が予定される最後の懇話会(第3回)で、絞り込んだ候補地数カ所を有識者らに示す考え。再度、有識者から意見を聴取し、本年度中に候補地を決定する。
候補地の絞り込みに当たり、宮城県は2次選定で重視する評価項目を明らかにした。[1]幹線道路からの距離および接続容易性[2]中間処理施設からの距離[3]下水道からの距離[4]地権者数[5]建設費[6]施設配置の容易性──の6項目を重視し、さらに絞り込む考え。昨年度に定めた「宮城県産業廃棄物最終処分場整備基本方針」では、幹線道路への接続の容易性や適正な排水処理環境の確保などを重要項目に挙げていることから、特に[1]、[3]、[4]、[5]の4項目は、配点を2倍にするなどして高く評価する。
[1]の「幹線道路からの距離および接続容易性」では、廃棄物の運搬に利用するアクセス道路について、現道のまま利用できることが望ましく、拡幅やトンネル、橋の新設が必要となる場合は評価を下げる。
[2]の「中間処理施設からの距離」では、排出量が多い県内の中間処理業者30社程度を抽出し、事業所と候補地の直線距離などを考慮する。より距離が近い場所を高く評価する。
[5]の建設費については、初期段階から経済性を考慮する上で評価項目に加えた。30ha以上の敷地に、埋め立て容量200万立方mの処分場を建設する場合の概略施設配置図を作成し、建設費を試算してコストを評価する。
絞り込みに当たっては評価項目を点数化し、総合点が著しく低い場所は除外する。また、同じ市町村内に複数の候補地がある場合は、総合点の最も高い場所のみを選定する。
候補地の選定に関し、宮城県はエックス都市研究所(東北事務所・仙台市青葉区)に調査業務を委託している。