箟岳揚水機場は単独改築 旧迫川地区/来年度から工事へ(北上土地改良)
[2020/5/30 宮城版]
農林水産省北上土地改良調査管理事務所は、旧迫川地区の国営施設応急対策事業で、箟岳揚水機場と米山揚水機場の統合を検討したが、地元との協議の末、統合しないことにした。箟岳揚水機場は単独で改築するため、来年度の工事着手を目指す。本年度は、主要工事計画などの補足検討を進めるため、29日付で「旧迫川地区事業計画補足検討業務」の一般競争入札を公告した。6月12日まで参加申請書や技術提案書を受け付け、7月3日に開札し、総合評価(実施方針重視型)で落札者を決める。
国営施設応急対策事業では、箟岳揚水機場の改築と、箟岳幹線用水路の更新・改修を進める。昨年度は旧迫川地区の事業構想検討業務をNTCコンサルタンツ(東北支社・仙台市泉区)に委託し、箟岳揚水機場の改築に合わせた米山揚水機場との統合を検討したが、統合は見送った。
箟岳揚水機場は涌谷町内に位置しており、口径1000mmの立軸斜流型ポンプが2台備わっている。揚水能力は毎秒3.1t、排水能力が毎秒4.4t。老朽化が進んでいるため、過去に耐震照査と耐震対策の検討業務や、改築の基本設計業務を日本工営(仙台支店・仙台市青葉区)に委託した。
箟岳幹線用水路は、全体延長が約2.9km。過去にコンクリート3面張りの延長500m区間が沈下したため、沈下部分を更新するほか、必要に応じて同区間以外の改修を進める。
29日付で公告した事業計画補足検討業務は、来年度からの工事に向け、主要工事計画などの詳細計画について補足検討を行う。併せて、ポンプに異常が見られた地区内の南方揚水機場と山吉田揚水機場の原因究明調査をとりまとめる。履行期限は2021年3月19日。
入札の参加資格は、東北農政局から測量・建設コンサルタント等がA等級で、建設コンサルタントの資格認定を受けていることなど。入札書の提出期限は、郵送が7月2日、電子と紙が同3日。
●ポンプ不具合で
原因を究明調査
南方と山吉田の両揚水機場は、老朽化によってポンプが異常停止した。このため、国営施設応急対策事業で箟岳揚水機場の改築や箟岳幹線用水路の更新・改修を進めた後、続く事業で改修することを考えている。地区内にあるこれ以外の揚水機場や幹線用水路、幹線排水路も後続事業での改修対象となる見込み。
南方揚水機場は、ポンプが立軸斜流型で、口径1000mmが1台、1500mmが3台の計4台が備わっている。揚水能力は毎秒2t。構造物は、建屋、排水槽、吸水槽、吐水槽、排水樋門、排水樋管などが設けられている。ゲートは、鋼製ローラーで、4・5m×2・2mが2門、2・5m×1・8mが3門。
山吉田揚水機場は、口径1100mmの横軸斜流ポンプが3台取り付けられている。揚水能力は毎秒8・2t。構造物は基本的に南方と同じ。
旧迫川地区は、登米市と涌谷町にまたがる水田地帯。1966~78年の国営かんがい排水事業で▽箟岳▽米山▽南方▽高石▽西館▽山吉田──揚水機場の6カ所が造られたほか、幹線用水路6路線や幹線排水路3路線などが整備された。受益面積は6413ha。
幹線用水路は、西館幹線用水路がコンクリート3面張りの開水路で延長2・9km、スチール管で延長0・3kmの規模。これ以外は、山吉田幹線用水路が延長4・1km、穴山幹線用水路が延長3・1km、米山幹線用水路が延長6・2km、南方幹線用水路が延長1・6kmで、すべて開水路となっている。
幹線排水路は、高石幹線排水路が延長1・9km、米山幹線排水路が延長3・5km、米山中央幹線排水路が延長2・3km。ほとんどがコンクリートブロック製で、米山中央には一部で鋼矢板などが含まれる。