建設技術研を特定 吉田川/洪水調節施設の検討(北上川下流)
[2020/5/28 宮城版]
国土交通省北上川下流河川事務所は、「鳴瀬川水系吉田川上流洪水調節施設検討業務」の簡易公募型プロポーザルで、建設技術研究所(東北支社・仙台市青葉区)を受託候補者に特定した。今後に同社と見積もり合わせし、金額が折り合えば委託契約を結ぶ。同業務では、吉田川上流への洪水調節施設の設置を検討する。
検討業務の内容は、計画準備、資料の収集整理、洪水調節施設の検討、報告書の作成。近年の降雨状況などから吉田川流域でどのように雨が降り、どれだけの流量が発生するかを調べ、どのような形で河川に放流するべきかを考える。履行期間は2021年1月29日まで。
近年は雨の降り方の変化に伴い、洪水被害が顕著化しており、昨年10月の東日本台風では大郷町内で吉田川の直轄堤防が決壊するなどの被害が発生した。これを踏まえ、東北地方整備局や県らは吉田川の「新たな水害に強いまちづくりプロジェクト」を策定。このプロジェクトの一環で洪水調節施設の整備を検討する。
具体的な洪水調節施設のあり方は今回の業務成果を踏まえて決めることになるが、現時点ではダムや遊水地などを想定している。場合によっては、大郷町~富谷市の辺りで既存のダムを改良することも考えられる。
なお、同プロジェクトでは、東北地方整備局と県が連携し、おおむね5年をかけて治水対策を進めることになっている。同局の総事業費は約267億円で、うち約241億円を河川大規模災害関連事業に充て、2019~24年度の6カ年で河道掘削や築堤などを行う。残りの約26億円は河川等災害復旧事業に充て、19~23年度の5カ年で護岸工事などを進める。
今後は仮に洪水調節施設を新設することになれば、別途新たな事業を加えることになる。