県19年度住宅着工統計 新設住宅3.8%減の1万2251戸 マンション伸び分譲増加2851戸
[2020/5/27 栃木版]
県住宅課は、2019年度(4月~20年3月)の新設住宅着工統計(建築確認申請数)をまとめ、戸数が前年度比3・8%減の1万2251戸、床面積も0・99倍の123万8347平方mとなった。県内14市のうち戸数トップが4051戸の宇都宮市、床面積の伸び率ではさくら市が前年度比1・14倍の2万9728平方mでトップとなった。戸数・床面積とも伸び率が高いのは、JR宇都宮線沿線や東武鉄道沿線等となっており、戸数・床面積とも前年度を上回っているのは、宇都宮、佐野、さくらの3市と前年度に比べ4市減少した。雇用環境が安定基調で推移し、貸家は減少したものの、マンションの伸びが手伝い、分譲が前年度比8・8%増の2851戸を記録。新設住宅着工戸数は、持ち家志向が堅調に推移して1桁減に止まった。 =3面に市町別住宅着工一覧
利用関係別戸数では、最も多い持ち家が前年度比1・4%増の6440戸と4年連続で増加。16年度まで底堅い動きを見せていた貸家は、3年連続2桁減となる21・3%減の2902戸となった。
過去20年間のピークとなった2006年度から東日本大震災を経て、16年度には総数が1万4000戸台に回復したものの、17年度は貸家に加え、給与住宅などの特殊要因が反映せず、1万4000戸台を下回り、この傾向は19年度も続いた。06年度は2万1457戸で、11年度に1万3096戸にまで落ち込んだ住宅戸数は、復興需要を反映した12年度の1万5328戸を除けば、ここ数年は1万5000戸の壁を破れないでいる。
市町別で戸数を見ると、宇都宮市が群を抜いて多く、次いで小山市1408戸、栃木市906戸、佐野市803戸、足利市757戸、那須塩原市621戸となっており、順位を含め600戸を超えたのは前年度と同じく6市に止まった。25市町全体1万2251戸における構成比は、宇都宮が33・1%を占めており、マンション561戸は市全体の13・8%となった。また、伸び率でも宇都宮市1・13倍、さくら市1・10倍などとなっている。
町は高根沢町の215戸がトップ。次いで壬生町が191戸、上三川町176戸、野木町132戸となり、鉄道沿線や宇都宮市に隣接するなど、通勤至便な町が上位を占める構図は変わらない。11町の戸数の構成比は10・1%と前年度に比べ1・0ポイント減少、一戸当たりの平均床面積は市と町の差はほとんどない。床面積は戸数に比例しており、宇都宮、小山、栃木がトップ3となっている。
06年度から経年別に見ていくと、08年度までは7900~9000戸台をキープしてきた持ち家数が、09年度からは7000戸台前半となり、15年度には6243戸まで落ち込み、18年度まで6000戸台前半で推移、19年度は6440戸まで回復した。貸家数も同様の傾向が見られるものの、19年度までの過去3年間は減少するなど、200万人へ安定して増加してきた本県の人口も、10年代に入りかげりが見えてきた。
一方で、11年度から19年度まで2000戸台をキープしているのは分譲住宅。再開発による06年度のマンション需要の3590戸をピークに一時は1400~1700戸台に落ち込んだものの、地価の下落傾向を背景に上下水道や道路・公園といった社会基盤が整備され、市町等が開発した土地区画整理事業地などへの民間住宅メーカーの進出により、14年度は分譲一戸建てが2043戸、15年度2077戸、16年度2262戸、17年度も2433戸と微増で推移。10年度から最高を記録した。18年度の2309戸、19年度は2224戸と微減となったものの、好調さを持続している。
低金利優遇制度が続く銀行などを主体に、住宅購入に当たっては公的資金に比べ民間資金を活用するケースは依然として多く、14年度実績では92・8%、15年度93・1%、16年度89・2%、17年度89・5%、18年度91・0%、19年度も89・5%を占めた。公的資金の利用戸数が減少傾向で推移しているのに比べ、民間資金は安定した戸数を保っている。公的資金のうち支援機構は借入れ期間の35年間金利が変わらない「フラット3」の導入を背景に、08年度に306戸まで落ち込んだが、10年度には858戸まで回復、19年度も788戸が活用している。