ICでの追跡システム検討 建設リサイクル推進計画(国交省)

[2020/5/26 千葉版]
 国土交通省は「建設リサイクル推進計画2020」の案をまとめ、25日に公表した。中長期的に取り組むべき建設副産物のリサイクルを推進するため、建設リサイクルの推進に向けた基本的考え方や目標、具体的施策をまとめたもので、国内の地方ごとに目標の達成状況に応じた施策などを盛り込んでおり、建設発生土について関東地方では「指定処分」の拡大に加え「ICカードを使ったトレーサビリティ(追跡)システム」の試行を検討していくなどとしている。

 関東地方の状況をみると、18年度の実績値は、アスファルト・コンクリート塊の再資源化率が99・9%、コンクリート塊だけでも99・8%となるなど、同率地方を含めて全国トップ。建設発生木材の再資源化・縮減率は98・3%、建設汚泥が97%となっている。

 今回の案による分析でも、建設廃棄物全体の再資源化・縮減率は常に改善が図られ、18年度には97%以上となるなどしたが、自治体別では「建設混合廃棄物」の再資源化・縮減率が3自治体で全国平均を下回るなど、一部の地域では一部品目で課題が残っているともした。

 建設混合廃棄物に関し、関東地方の個別課題として案では、同地方の目標値を達成しなかった唯一の品目であり、このうち土木工事や建築工事の解体、修繕において目標値を達成できていないとする一方、建築工事のうち新築、増改築では目標値を達成しているものの、搬出量が多くなっており、さらなる再資源化・縮減率の向上を図るため、地域の実情や工事ごとの発生形態に応じた施策を検討する必要があるなどとした。

 このため、有効活用できなかった事例も見られる建設発生土については、関東地方の発生土が他の地域に運搬されて不適切に処理されている可能性もあるため、トレーサビリティの強化が課題だとし、新たにICカードでのトレーサビリティシステムなどの試行について検討するとともに、船舶による建設発生土運搬について、関係機関と連携し追跡強化を検討する。

 継続するとした取り組みについては、地域の実情や個々の工事ごとの発生形態に応じた「現場分別マニュアル」を作成することや、再生材が使用可能な用途を明確にするなど再生資材の調達方針を設定。「入口側の循環利用量」と「出口側の循環利用量」を算定し、利用促進の効果を測定するなどとした。

 一方で縮小・見直しする取り組みなどとして、すでに多くの自治体で整備・活用されている「受入地登録制度」を、各自治体の自主判断とするほか、建設発生木材の多くは、再資源化施設でチップ化され、バイオマス発電施設などに搬出されていることから、今後の導入などについても各自治体に委ねるなどとしている。

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